【センバツ】石岡一エース・岩本、11回11Kもサヨナラ悪送球「悔しいです…」

スポーツ報知
延長11回1死満塁、盛岡大付・島上の投ゴロを石岡一・岩本が本塁へ悪送球(捕手は中山=カメラ・岩下 翔太)

◆第91回センバツ高校野球大会第3日 1回戦 盛岡大付3x―2石岡一=延長11回=(25日・甲子園)

 第2試合では21世紀枠・石岡一(茨城)のエース・岩本大地(3年)が、強打の盛岡大付(岩手)を相手に8回まで2安打無失点、11奪三振と快投。しかし9回に追いつかれると、延長11回に自身の悪送球でサヨナラ負けした。第1試合は延長11回、ヤクルト・奥村展征内野手(23)の弟・真大内野手(2年)が決勝打を放った龍谷大平安(京都)が、春夏合わせて京都勢200勝を達成した。

 ヤバい―。悔やんだ時にはもう遅かった。同点の延長11回1死満塁。石岡一・岩本の170球目、142キロ直球に島上真綾の詰まった打球は投前に転がった。ゲッツー、いける。本塁へ送球したが、焦りから指に掛かりすぎた。悪送球で三塁走者が生還。サヨナラ負けだ。背番号1は黒土の戦場に膝を突いた。

 「最低限、アウト1つで良かったんですが、勝ちたかったんで。悔しいです…」

 21世紀枠の県立校対強豪私学。番狂わせ、あるかも。力投に花冷えの甲子園が異様な熱気に包まれた。この日の最速144キロの直球にスライダー、チェンジアップを操り、初回先頭から4者連続三振と緩急で翻弄。8回まで2安打無失点、11三振を奪った。2点リードの9回2死二、三塁。小川健成にスライダーを3球続け1ボール2ストライクに追い込む。あと1球。ここで140キロ直球が甘く入った。打球は右前を襲う同点の2点適時打。振り出しに戻った。

 「あとアウト1つで勝ちきれなかった」。試合をすぐに終わらせたい。心の隙に“魔物”が忍び寄った。盛岡大付は打撃マシンを最速172キロに設定。17メートルの距離で速球対策をしていた。ストライクゾーンへの直球はいささか慎重さを欠いた。

 造園科に属し、造園技師検定3級を持つ“農業系球児”は金足農・吉田輝星のフォームを参考にしてきた。試合前、バスの車中ではスマホで昨夏の輝星の動画を視聴。心を奮わせ、大一番に臨んだ。勝利には届かなかったが、全国の公立勢を勇気づける熱投だった。

 「甲子園は楽しかった。夏には吉田選手のような活躍ができるよう、成長して戻ってきます」。多くの“収穫”を胸に、エースが聖地を去った。(加藤 弘士)

 ◆岩本 大地(いわもと・だいち)2001年10月16日、茨城・石岡市出身。17歳。八郷中では軟式。3年時に県大会で準優勝し、関東大会に出場。県選抜入り。強豪私学からの誘いもあったが、中学の先輩でもある川井監督が率いる石岡一に進学。1年春からベンチ入り。1年秋からエースナンバーを背負う。最速147キロ。特技はグラウンド整備、ツツジの種類を見分けること。175センチ、80キロ。右投右打。家族は両親と姉。

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