イチロー、17年ぶりPS進出へ裏から支える

スポーツ報知

 イチローがマリナーズの会長付特別補佐に就任してから2か月がたった。肩書は変われど、イチローが向かうのは依然として51番が表示されたロッカーだ。今季はプレーしないものの、来季の現役復帰の可能性を残すだけに、以前と同じようにユニホームを着て、チームメートと練習に励む。

 試合前に限っていえば、本拠地でファンがイチローの姿を目にする機会は逆に増えた。ホームチームが先に行う打撃練習は以前、球場開場時にイチローの順番は終わっていたが、最終組に入った現在はファンも右翼のサク越えを見ることができる。打撃練習がないデーゲームの試合前もグラウンドに姿を見せ、100メートル近くの遠投や背面キャッチを披露。本拠地ではまれだった即席サイン会も頻繁に行い、ファンを喜ばせている。

 いざ試合が始まるとベンチには残れないが、ファンの目が届かないところで助言役もこなしている。「試合の4回ぐらいになると、僕は代打に備えるため打撃ケージに入る。マシン相手に練習していると、イチローが『僕が投げようか?』と聞いてくれるんだ」。そう話すのはタイガースに所属した昨季、1試合に全ポジションでプレーした万能選手のA・ロマインだ。

 イチローからはメンタル面で学ぶことが多いらしく、「打席に入る前から試合のシナリオを頭の中で描いておくようになった」という。三塁手のK・シーガーは11年のメジャーデビュー当時は「恐れ多くて質問できなかった」そうだが、今季は質問に答えてもらえるどころか、ユーモアあふれるイチローのことを「よく知ることができて楽しい」と話す。

 前半戦終了時で貯金19。地区首位のアストロズに5ゲーム差。ワイルドカード争いはヤンキースに次ぐ2位。チームの雰囲気は総じて明るい。「それが一番の彼らの助けになるということであれば、喜んで受け入れようという気持ちです」と5月3日に新たな役割を引き受けたイチロー。自身がメジャーデビューした01年以来17年ぶりのポストシーズン進出に向け、チームを支えている。(金岡美佐通信員)

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