田中将大、5回1失点でRソックス斬り「自分の全てを出し切れた」

スポーツ報知

◆ア・リーグ地区シリーズ第1戦 レッドソックス2―6ヤンキース(6日・ボストン)

 【ボストン(米マサチューセッツ州)=一村順子】ヤンキースの田中将大投手(29)が6日(日本時間7日)、敵地で行われたレッドソックスとの地区シリーズ第2戦に先発。5回1失点で、日本人投手ではRソックス・松坂大輔(現中日)に並ぶポストシーズン(PS)3勝目を挙げた。ヤ軍は初回にジャッジのPS3試合連続本塁打で先制するなど、3本の本塁打を浴びせ、対戦成績を1勝1敗のタイとした。アストロズはインディアンスに3―1で競り勝ち2連勝となった。

 『10月の田中』が、戻ってきた。絶対負けられない試合を5回3安打1失点の好投。立ち上がりから切れ味鋭いスプリットを駆使し、レギュラーシーズンで108勝したRソックスを黙らせた。

 4回、ボガーツにソロ本塁打を浴びたものの、それ以外はピンチらしいピンチはなく、マウンドを支配した。打線も3本のアーチで援護。負ければ王手をかけられる試合の快勝は、田中のピッチングがもたらしたといっても過言ではない。

 「一人一人、一球一球に神経を使って投げた。自分の全てを出し切れたと思う。敵地で勝って、1勝1敗のタイで帰れるのはすごく大きい」

 レギュラーシーズン最後の2試合はスプリットの制球に苦しみ、ともに5回途中降板。そのため、登板前に2度ブルペンに入り、左足を上げてから着地までのフォーム修正に取り組んだ。この日は78球中34球がスプリット。伝家の宝刀を、レギュラーシーズンの平均より1割程度多く、自在に使った。ブーン監督も「田中が試合を確立した。制球力に優れた力強い5イニングだった」と絶賛した。

 これでPS3勝目。日本人では松坂大輔に並ぶ最多タイに。PS登板5試合で防御率は1・50。被打率は1割6分2厘。PSデビューから先発5試合連続で2失点以下は、あの殿堂入り左腕で1963、65年とドジャースの世界一でともにMVPとなったサンディー・コーファックスの6試合連続に次ぐ記録となった。

 PSでの勝負強さは、重圧をプラスに変えるメンタルが支えている。「期待の中でプレーすることは、プレーヤーとしてこれ以上ない喜び。感謝する場に立たせてもらっていると思うので。僕はそれがいい方向に出ていると思う」

 首位打者となったベッツには5打席連続安打されていたが、前日会見で「関係ない。明日は明日」と言い切った右腕は、言葉通り3度とも抑えこんだ。独特の雰囲気に支配される大舞台で、ヤンキースファンの期待を力に変えた。

 7日の休日を挟み、8日は本拠地で第3戦を迎える。田中の快投で逆襲ののろしを上げたヤ軍が一気に、王手をかける。

 ◆田中に聞く

 ―過去のPSの経験をうまく生かせている?

 「その経験はレギュラーシーズンでも生かしてきた部分がある。ポストシーズンになって、再び、去年どうだったかとか思い返す機会になったので、生きたんじゃないかと思う」

 ―スプリットの感触は?

「最近の2試合と比べて全然よかった」

 ―スプリットの割合が多かった。

 「出来がよかったから、数が増えたという部分はある。出来がよくないと投げられないので」

 ―5回での降板について。

 「こういうふうに降りることもポストシーズンならある。次の登板につなげていければいい」

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