田中、ブルペン待機も出番なくヤンキース地区S敗退 来季へ「野球がうまくなりたい」

スポーツ報知

◆ア・リーグ地区シリーズ第4戦 ヤンキース3―4レッドソックス(9日・ニューヨーク)

 田中将大投手(29)所属のヤンキースが9日(日本時間10日)、本拠地で行われた地区シリーズ第4戦でレッドソックスに3―4で敗れ1勝3敗で敗退した。

 序盤に4点を許したヤ軍は9回、2点を奪って1点差に迫ったものの、あと一歩及ばなかった。ブルペンで救援待機した田中は「何かが足りなくて、ここで敗退。悔しいです」と話した。なお、レ軍は昨年の世界王者アストロズを本拠地フェンウェイ・パークに迎え、13日(同14日)からリーグ優勝決定シリーズ(7回戦制)を行う。

 去年よりも早く、田中の、ヤンキースの『10月』が終わった。9回、Rソックス抑えのキンブレルから2点を奪い1点差に迫ってなおも2死一、二塁としたが、最後の打者トーレスが際どい三ゴロに終わって夢は打ち砕かれた。

 「何かが足りなくて、ここで敗退という形になった。悔しいです。同じ地区にボストンというチームがいて、こうも抑えるのが難しいかと思った」と田中。背水の陣に、中盤からブルペン待機。中2日で楽天時代の13年日本シリーズ第7戦以来の救援登板はなく、悲願のワールドシリーズ制覇も来季へ持ち越しだ。

 今季は4月から14試合連続負けなしの自己新記録を達成。3敗した8月も投球内容には手応えを感じ、日本人初のデビューから5年連続2桁勝利の12勝6敗。10月は地区シリーズでチーム唯一の白星となる第2戦の殊勲者に。勝ち進めば、右腕をしならせる舞台が待っていたはずだったが…。

 「これだけの緊張感でやってきて、明日から何もなくなる。抜け殻じゃないけど、そんな感じになるかも」と虚脱感を認めつつ、一方で「野球がうまくなりたいと思っている。もっと投球の質を上げていけると思うし、突き詰めていけるようにしたい」と湧き上がる来季への思いを口にした。

 ヤ軍入団から5年。来年は30歳でのシーズンとなって、チームではベテランの枠に入る。求められる役割が変われば、悔しさの質も変化した。

 「あの手、この手を探して相手より上に行こうとする。それは相手も一緒。その繰り返し。そういう難しさを今年は感じられたなと思いますね。大変だけれど、勝った時の喜びは大きい。まぁ、頑張りますよ」

 最後は柔和に笑った。野球への情熱が一層強くなっていた。(一村 順子)

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