マエケン、マツダで1133日ぶり凱旋登板「僕にとって幸せな時間」

スポーツ報知
マツダスタジアムのファンの前で、MLBオールスターの先発投手として投球する前田(カメラ・馬場 秀則)

◆日米野球第4戦 侍ジャパン5―3MLBオールスター(13日・マツダスタジアム)

 史上初のマツダスタジアム開催となった第4戦は、“広島勢”が豪華競演した。MLBの一員として参加した前田が、かつての本拠地で1133日ぶりの凱旋登板。尊敬する黒田博樹氏(43)が始球式を務めた後、先発として弟分の大瀬良と投げ合い2回1安打無失点と快投した。侍ジャパンではタナキクが躍動。9回に田中広が同点タイムリー、菊池が勝ち越しセーフティースクイズを決めるなど一挙4点で逆転勝利。対戦成績を3勝1敗とし、これで侍ジャパンは勝ち越しに王手をかけた。

 歴史的な一日を心から堪能した。1133日ぶりに帰ってきた古巣で、前田の笑顔がはじけた。2回2死一塁で上林を三ゴロに仕留め、無失点で切り抜けると「僕にとって幸せな時間。かつてプレーしたグラウンドに戻って来られたのはすごく楽しかったです」。ドジャーブルーのユニホームに身を包み、広島時代に45勝を挙げた“庭”で躍動した。

 海を渡って3年。22球に感謝を込めた。最速は149キロ。直球主体ながらボールを積極的に動かすと、2回1死で森から空振り三振を奪ったのは今季から握りを変えたチェンジアップ。「何かを変えなければいけないと思って練習して、有効的なボールになった。成長した姿を見せられたんじゃないかな」。新たな武器を交え、さらに大きくなった姿を披露した。

 公式戦162試合に加え、ポストシーズン16試合を完走。それでも、当初は難しいとみられた出場を熱望し、この日の登板にこだわった。実現しなかったが、降板後はマッティングリー監督に何度もバッテリーを組んだ“同級生“の会沢までの続投を志願。意欲は並大抵ではなかった。12日は平和記念公園で献花した後にマツダでこっそり練習。夜は広島の侍5選手と食事会を開き、英気を養った。

 広島、ド軍の18番のユニホームが客席に目立つ中、新旧エースと並び立った。07年の初対面で圧倒され、そろい踏みした15年も成長を後押しした黒田氏がファーストピッチを終えると、がっちり握手。降板後に放送席で共演したのも国際試合では異例だ。初対面から「俺についてこい」と声をかけ、退団時に後継者に指名したのが大瀬良。系譜は受け継がれている。

 今後はシーズンの疲れを癒やし、日米13年目へ走り始める。「また来年から先発で貢献できるように頑張りたい。ワールドチャンピオンになりたい」。育ててくれたマウンドに新たな思い出を刻み、前田健太は進化を止めない。(田島 正登)

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