大谷翔平、ぶっちぎり新人王!「素晴らしい選手の名前の中に並ぶことが出来て光栄」

スポーツ報知
ア・リーグの新人王を獲得した大谷(左)は、1年間サポートをしてくれた水原通訳の手を掲げて笑顔を見せた(エンゼルス球団提供)

 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が12日(日本時間13日)、ア・リーグの最優秀新人(新人王)に選出された。日本選手では1995年の野茂英雄投手(ドジャース)、2000年の佐々木主浩投手、01年のイチロー外野手(ともにマリナーズ)以来17年ぶり4人目の快挙。投票権を持つ30人のうち29人が3位票までに投票し、2位以下に大差をつける圧勝だった。

 自然と表情が緩む。大谷は新人王の吉報を受け、充実した表情で言葉をつないだ。本拠地・エンゼル・スタジアムで行われた野球専門局「MLBネットワーク」のインタビュー。「取れたのはすごくうれしい。応援してくれた方にとってもうれしいことだと思うので良かった。数字を見れば打者の方が貢献できたのかなと思う。大事な時期に投手で抜けてしまったのは心残り」。晴れの舞台でも、6月に見つかった右肘の故障でシーズンを通して投打でプレーできなかった反省を口にしたのは大谷らしかった。

 “圧勝”だった。全米野球記者協会会員30人のうち25人から1位票を集めるなど137ポイント(P)を獲得。自身の打撃成績を上回り、一騎打ちが予想されたヤンキースのM・アンドゥハーは89P。投手で先発として4勝2敗、打者では打率2割8分5厘、22本塁打、61打点、10盗塁。同一シーズンでの「10試合登板、20本塁打、10盗塁」はメジャー初。ベーブ・ルースと比較される中で日本選手ではイチロー以来17年ぶり4人目の新人王に「レベルの高い中で1年間やってこられたのは、プレー以上にいい経験になった。素晴らしい選手の名前の中に並ぶことが出来て光栄なこと」と喜びをかみしめた。

 自己評価は決して高くなかった。新人王争いが話題になった9月中。水原通訳から「新人王いけそうだね」と期待されたが、「全然無理っしょ。無理」と首を横に振ったという。「フルで出ていたわけではない。フルで出ることが一番いいこと。けがをしたことは本当に良くなかった。悔しい思いはあるけど、その中でこういう賞をもらったのは光栄なこと」。特異なプレースタイルの二刀流では最多勝、首位打者など個人タイトル獲得は厳しいだけに、最高の勲章となったはずだ。

 今季最高の思い出には、本拠地初戦となった4月3日のインディアンス戦で初本塁打と初アーチ後に受けた歓迎儀式「サイレント・トリートメント」を挙げた。「初本塁打はうれしかったし、ベンチに帰ってからも楽しかった」と明かした。

 10月1日に右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)を受け、来季は打者一本となる。初めて言及した術後の経過では「本当に毎日前進し続けているかなと思う。いい方向に全部進んでいる」と順調なリハビリを強調。「これから先の方が長い。そこでもっといい活躍が出来るように。今のうちから、また来年に向けて頑張りたい」。新人王を励みにして、また世界を驚かせる準備を進めていく。

 ◆メジャーの新人王 ア、ナ両リーグから選ばれる。メジャー25人枠の在籍期間が45日以内で、打者なら130打数、投手なら50投球回以内の選手が対象。全米野球記者協会の会員のうち、30球団の本拠地から選ばれたア、ナ両リーグの各30人がレギュラーシーズン終了時に投票する。3人連記で、1位(5点)2位(3点)3位(1点)の合計点で決める。1947年に制定され、同年に黒人初の大リーガーとなったジャッキー・ロビンソンが受賞。デビュー40周年の87年には「ジャッキー・ロビンソン賞」と命名された。

 ◆日本人過去3人の新人王

 ▼95年・野茂英雄(ドジャース) 13勝(6敗)を挙げて28人(当時ナ・リーグは14球団)のうち18の1位票を獲得、後に米国野球殿堂入りを果たすチッパー・ジョーンズ(ブレーブス)の10票を上回って日本人初の同賞受賞者に。

 ▼00年・佐々木主浩(マリナーズ) 32歳でメジャーのマウンドに立った。当時の新人記録を塗り替える37セーブをマークし、28人中17人から1位票を得て史上2番目の高齢受賞。2位はロングの7票、3位はクウィーンの4票だった。

 ▼01年・イチロー(マリナーズ) 242安打を放って首位打者を獲得するなど旋風を巻き起こし、史上2人目の最優秀選手とのダブル受賞。ただ、新人王の得票では投票権を持つ28人中、1人だけが1位に投票せず、インディアンス・サバシア(現ヤンキース)に流れる「準満票」だった。

 ◆大谷 翔平(おおたに・しょうへい)1994年7月5日、岩手・水沢市(現奥州市)生まれ。花巻東では2年夏と3年春に甲子園出場。12年ドラフト1位で日本ハムに入団。14年にプロ野球史上初の同一シーズンでの2ケタ本塁打と2ケタ勝利を達成。16年にも10勝、22本塁打をマークしてパ・リーグ優勝と日本一に貢献。パMVPや史上初となるベストナインの投手とDHの両部門を同時受賞。同年CSでのソフトバンク戦でプロ野球最速の165キロをマーク。昨年12月に入札制度でエンゼルス入り。193センチ、91キロ。右投左打。

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