【大谷翔平、二刀流の真実】〈1〉バーランダーも認めた修正力

スポーツ報知

 ベーブ・ルース以来の本格的な二刀流としてメジャーを席巻し、日本人4人目の新人王を獲得したエンゼルス・大谷。そのすごさや、メジャー移籍で変わったことは何だったのか。スポーツ報知では他球団のライバルや関係者の証言をもとに、連載「二刀流の真実」で迫る。

 新人王をグッと引き寄せるアーチだった。9月15日の本拠地・マリナーズ戦。初回1死で20号ソロをたたき込んだ。日本人では10年にエンゼルス・松井秀喜が21本塁打を放って以来2人目、1年目では初の大台到達だった。最終的にはシーズン22発まで伸ばし、右肘故障による離脱など新人王獲得に否定的だった空気を払拭した。

 開幕直後に3戦連続弾。いきなりの打棒爆発だったが、オープン戦は32打数で長打ゼロ。打率1割2分5厘だった。右足を上げずにすり足気味にタイミングを取る打法に変えたのは3月26日。「トップに入る過程をちょっと省いたぐらい」と振り返ったが、開幕まで残り2試合での打撃改造は周囲を驚かせた。

 このドジャース戦前。02年新人王のヒンスキー打撃コーチは大谷と同じ体格のK・ブライアント(カブス)、F・フリーマン(ブレーブス)ら大谷と同じ体格の打者を参考に「足を上げなければ、頭を静止した状態で体のバランスを崩さずに打てる」と助言を送ったという。大谷は「飛距離は出るのか?」と心配したというが、練習でサク越えを連発。同コーチは「それで納得したようだ」と舞台裏を明かす。

 大谷を支えたのは、この修正力の高さだ。それは通算204勝右腕、J・バーランダーも認めるところ。今季最も多い14打席で対戦し、5月16日の初対戦は4打数無安打3三振。“完敗”だったが、3度目の対戦となった8月25日には、14号2ランを含む3打数2安打2打点と打ち崩した。

 今季通算14打数3安打の打率2割1分4厘、1本塁打、2打点で5三振。剛腕が貫禄を見せたが、初対決から外角高めへ160キロ近い剛速球、膝元をえぐるスライダー、タイミングを外すチェンジアップと全力投球だった。初対決の打者に対して剛速球のみで抑えにいく右腕にとっては異例のこと。シーズン終盤、こう振り返った。「それだけ才能のある打者だからだ。内角の直球も反応でき、試合を重ねるごとにますます向上している。投打で彼ほどの能力がある選手を見たことがない」

 9月下旬。バーランダーは新人王を大谷とアンドゥハーの2択と予想した上で、「大谷が成し遂げたことは圧巻。ベーブ・ルースと比較して名前を挙げられるのは特別」と推していた。お互いが認め合う剛腕との対決は、来季以降も名勝負となりそうだ。(特別取材班)

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