大谷翔平が振り返った1年目 肘の手術、イチローへの感謝…帰国会見一問一答(前編)
エンゼルスの大谷翔平投手(24)が22日、都内の日本記者クラブで会見し、二刀流継続への熱い思いを口にした。1時間の会見では新人王を受賞した今季を振り返りつつ、10月初旬に受けた右肘内側側副靱帯(じんたい)の再建術(トミー・ジョン手術)後の経過を帰国後初報告。不振だった今春オープン戦中にイチロー外野手(マリナーズFA)を訪問したことや、打者一本となる来季への意気込みも激白した。
〈1〉今季終え
―今季を振り返って。
「『やるぞ』という気持ちから1シーズンを終えて、いろいろなことがあったけど、最後に終わってみたら、充実したシーズンだった。(野球好き少年のまま)その気持ちが今も続いてるんじゃないかと思う。今年も毎日、球場に行くのが楽しかったし、グラウンドでプレーするのがすごい楽しかった。その延長戦上じゃないかなと思う」
―日米の違いは。
「自分が考えていた以上に先の技術がすごく多く取り入れられている。そこに対してはやっぱり、自分が変わって、もっとより良い方向に変化していかないとついていけない部分の方が多かった」
―初アーチの時は、ベンチに戻って無視される「サイレント・トリートメント」で祝福を受けた。
「最初はちょっと分からなかったので、嫌われているのかなと。嫌われてなくて良かったなと思います。自分のためにその時間を使ってくれてうれしかった」
―エンゼルスというチームの印象は。影響を受けた選手は。
「第一印象と変わらず、いいチームに入って野球ができてよかった。影響を受けた選手は、やっぱりマイク・トラウト選手は球界を代表するトップの選手。技術も人間性も含めて本当に素晴らしいなというか、見習うところしかない」
―思い出の一球、思い出の一打を挙げると。
「投手では初登板はやっぱり緊張してマウンドに上がっていったので、結果というよりはゲーム自体が印象に残っているのかな。初本塁打はホームの1打席目で打てたので、そこはすごく印象に残って、うれしかった」
―今季の点数は何点。
「あまり自分に点数はない。離脱してしまって、いい点にはならない」
―今年の成績、数字的に満足か。来季の目標は。
「満足はもちろんしていないです。(来季目標の)数字はないですけど、ポストシーズンに行きたいなというのはより今年、1年で強くなっている。まずはそこを目指して頑張りたい」
―2020年には東京五輪がある。
「五輪に関しては僕の気持ちだけでどうこうはない。もちろん日本で開催されることにすごく興味を持ってます。出場してみたいなという気持ちがあるのは普通のことじゃないかなと思います」
〈2〉手術
―10月上旬に右肘を手術。決断に至った心境は。
「肘にメスを入れるかについては抵抗はありました。入れないなら入れない方がいいと思っていたけど、長期的に見た時に健康な状態で不安なく、マウンドで自分のパフォーマンスを出せるようになるのが一番だと思った。そのために必要な手術かなと手術することになった」
―術後の経過は。
「術後の経過は今もすごく順調。約2か月弱ですけど、日常生活に関しても特に不自由することはなく。最初の1か月ぐらいはなかなか思い通りに右手も使えなかったので苦労しましたけど、今ではそんなに不自由することはない。今はやって良かったと思っているし、これから先も復帰に向かう過程でそう思えるリハビリの過程を積めれば」
―現在の練習メニューは。2月に打撃練習を再開できるか。
「今の練習メニューとしてはランニングを含めた有酸素系のトレーニングと下半身、体幹のトレーニングもできる。主には右腕を使わないトレーニングに関してはできる状態。右腕も軽い負荷のかかった抵抗運動だったりとかはできる状態。継続的に行っているのは屈曲伸展の運動。そこは継続的にやっていきたい。実戦復帰に向けては正直、1週間、2週間の単位のリハビリの進行具合によって全然変わってくる」
―右肘に故障が続いた原因は。
「原因がこれだと分かっていれば一番楽だと思う。要因は一つではない。ただ、人より速い球を投げられるという点に関して言えば、より大きな負荷がかかるというのは、普通に考えて、しょうがないことではあるので。そこを含めて、効率良く投げていけるところを見つけていけることがまず最初にできることでないかと思います」
―来季は打者としてプレーすることになる。
「今シーズンとは少し違うかなと思うけど、チームが大事な時に離脱してしまったというところが一番じゃないかと思っている。来年どのタイミングで実戦に入って、試合に出られるか分からないけれども、入った後はやっぱり最後までチームの戦力になれるよう、レベルアップも含めてシーズンを戦っていきたい」
〈3〉イチロー
―オープン戦で不振に陥り、開幕前イチローにアドバイスを求めた。
「アリゾナキャンプの時に、なかなか思い通りにプレーできなかった。精神的な部分も。そういうところで一番経験されてきた方にお話をうかがいたいなということで実際にお会いして話をさせていただいた。そこから気持ち的にも技術的にも、より進歩してシーズンに入っていけた。すごく感謝してますし、すごい勉強になった期間」
―フォームを変えるまでに葛藤はあったか。
「結果が出ないのもそうですし、内容も自分で手応えを感じることがなかった。その中で少し変えてみようかなというとこで、取り組んだところがいい方向にちょっとずつ転んでいった」
―オープン戦での不安をどう解消していったか。
「今年ぐらい結果が出ずにシーズン入って行くこともなかった。そういう点では打席もそうですけど、投手の方が特に不安が大きかった。復帰した後は、より負担を少なく効率よく投げていくことがひとつ。それと並行して全体的にレベルを上げていかないと、結果が伴ってこないと思うので、今のうちからできることというのはたくさんある。マウンドに立たなくても勉強になることはたくさんある。そういったところを復帰した時に実践できれば」