菊池雄星、英語で受け答えの入団会見 積極的姿勢に米記者団も好意的な笑顔

スポーツ報知
菊池雄星

 雄星が早くもマリナーズ・ファンの心をつかんだ―。西武からポスティングシステムでマリナーズ入りした菊池雄星投手(27)の入団会見が3日(日本時間4日)午前11時から、マ軍の本拠地「Tモバイル・パーク」で行われた。米記者団との質疑応答を、ほとんど英語で答えるという異例の対応で関係者を驚かせた。最大1億900万ドル(約120億円)の大型契約を結んだ投手にふさわしい、強烈な印象を与えた。

 花巻東入学時から夢に見ていたメジャー入り。12年の時を経てつかんだ菊池は、会見の冒頭、英語で「アイム・ベリー・ハッピー・トゥ・ビー・ヒア(ここに居られて幸せです)」とあいさつした。マリナーズ・カラーのネイビー色のネクタイを締め、渡米してきた両親と妻の瑠美さんが見守る中、終始笑顔だった。

 日米約50人の報道陣が見守る中、SNSでライブ・ストリーミングされた会見で最も注目されたのが、菊池の英語だ。自己紹介で使う日本人選手はいるが、それに続く米地元記者団からの質問にもほとんど英語で回答した。その異例の対応に、会見に同席したディポトGM、サービス監督はもちろん、米メディアも驚きの表情。次から次へと質問が飛び交う活発な会見となった。最後に「聞き苦しい下手くそな英語で、申し訳なかった」とのコメントも、左腕が積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢に、多くの米メディアは好意的な笑顔で聞き入っていた。

 新天地の背番号は昨年まで岩隈がつけていた18番。「18番というのは、日本人選手にとって特別な番号。過去、日本でもメジャーでも、多くの偉大な投手がつけてきた番号をいつか背負いたいなと思ってきた」。目標については「アメリカでプレーする中で、技術的にも精神的にも人間的にも大きくなるところを、まず日本の皆さんに見せられるようになりたい。こっちに来ることが目標なのではなくて、結果を出すことが目標」と、力強く語った。

 今春の日本開幕戦で復帰する予定のイチローに関しては「特別な思いがある。僕が初めてプロ野球を見にいったとき、イチローさんが最後に岩手県野球場(00年6月6日)でプレーしたのを見たが、オーラがあった」と強烈な印象を受け、イチロー本をほとんど読破。その上で「一緒にプレーするのが楽しみで仕方ないし、そうなれば、必ず僕の一生の財産になる」と声を弾ませた。

 交渉期限2日前に最大1億900万ドルという大型契約を結ぶ支えとなった米国を代表するスーパー代理人のボラス氏は「彼は並外れた若者。私はアメリカにひとりでやってきた日本人選手が、これほど完全な英語で記者会見に臨み、シアトル市に対して自分のことを紹介した様子を今までに一度も見たことがない。このことが、彼の学習力がどれほど高く、メジャーでプレーすると決めたことを遂行する力が高いことを物語っている」と絶賛。そして、菊池のことを「YK」と呼んでいるため、サービス監督らも「いいね、私も彼をYKと呼ぶことにしよう」と早くもニックネームができそうだ。

 メジャー第一歩の会見では最大級の評価を得た菊池。今度はグラウンドで結果を残さなくてはならない。

 ◆菊池 雄星(きくち・ゆうせい)1991年6月17日、盛岡市生まれ。27歳。花巻東では2009年センバツで準優勝、夏は4強。同年のドラフトでは1位で6球団が競合した末に西武入り。2年目に1軍昇格して4勝、3年目からはローテ入りし、17年、初タイトルとなる最多勝と最優秀防御率に輝いた。通算成績は158試合に登板し、73勝46敗。184センチ、100キロ。左投左打。18年の年俸は2億4000万円。

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