松井秀喜氏からイチローへメッセージ「あの日のように鈴木一朗さんとゆっくりと野球の話を」

スポーツ報知
14年2月、ヤンキースのキャンプでイチロー(左)に笑顔で声をかける松井臨時コーチ

 巨人、ヤンキースなどで活躍した松井秀喜さん(44)=ヤンキースGM付特別アドバイザー=が22日、スポーツ報知の取材に応じ、引退したイチローについて語った。1学年上のヒットメーカーはタイプは違っても、同じ右投左打で比較されてきた。頂点を極めた者にしか分からない、ゴジラ流のメッセージを送った。

 衝撃的なニュースを、自宅のある米ニューヨークで知った。「イチロー引退」。一報を耳にした松井さんの脳裏によみがえったのは、初対面の時のことだった。イチローが愛工大名電高2年、自身が星稜高1年で当時、両校は練習試合を行っていた。

 「イチローさんが、高校2年生の1990年6月に金沢で練習試合をした時に初めてお会いし、一塁ベース上でお話したことが今でも記憶に残っております」

 翌91年は星稜が愛工大名電まで遠征した。

 「翌年、練習試合は雨で中止になりましたが、イチローさんの寮の部屋で2人でゆっくりお話したことも、鮮明に覚えております」

 高校時代、たわいもない話で盛り上がった安打製造機とスラッガーはプロ入り後、ともに日本を代表する打者に成長し、海を渡った。

 「その後、オリックスに入団し鈴木一朗から日本一のプレーヤー、イチローになり、マリナーズに入団しメジャーリーグのトッププレーヤー、ICHIROになりました」

 努力を重ねなくては結果は生まれない。そのことは十分に分かっているから、こんな言葉が続く。

 「そこに至るまでの過程で、野球を愛し続け、情熱を注ぎ、ご自身がより良くなるために野球を考え抜き、それを実践し、不断の自己研さんに日々努めたことは想像に難くありません」

 かつてこんな質問をしたことがある。イチローはどこがすごいのか。雄弁にまくし立てた。「守備がうまくて、盗塁ができて、肩が強くて、なおかつヒットを打って。若いときからず~っと全部できる。そんな人はなかなかいません。そういうすごさだと思います」。何かと比較されてきたが、尊敬の念を抱いていた。

 イチローが「ギフト」と表現した日本での幕引き。松井さんは「野球の神様」を持ち出した。

 「そういう姿勢で過ごされたイチローさんだからこそ、これ以上ない現役最後の舞台が、野球の神様によって用意されたのではないかと感じています」

 再会を願い、こう締めくくった。

 「いつの日か、あの日と同じように、鈴木一朗に戻ったイチローさんと、今度はお酒でも飲みながらゆっくりと野球の話をしたいと勝手に夢見ております」

 初めて出会った頃のように。(鈴村 雄一郎)

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