イチローと高校時代甲子園かけ対戦した静高OB望月正勝さん「人生の大きな支え」

スポーツ報知
イチロー引退の新聞を食い入るように見つめる望月さん

◆秋季東海地区高校野球大会 ▽準決勝 愛工大名電2x―1静岡=延長10回=(1990年11月3日・四日市市霞三ヶ浦球場)

 21日に現役引退を表明したメジャーリーグ・マリナーズのイチロー外野手(44)=本名・鈴木一朗=と、高校時代に甲子園をかけて対戦した静岡高野球部OBの望月正勝さん(43)=会社員=が22日、報知新聞社の取材に応じた。「あのイチローさんと対戦したということが、僕の人生の大きな支えになっている。そういう意味で、ありがとう、という思いです」と同じグラウンドで戦えたことを感謝した。

 1990年の秋季東海地区高校野球大会の準決勝でイチロー率いる愛工大名電と激突。当時、東海のセンバツ出場枠は3校で、勝てば当確する大一番だった。年齢はイチローのひとつ下で、当時1年生エースだった望月さんは、9回まで1失点と好投しながら延長10回裏1死二塁からエースで3番だったイチローにサヨナラ打を浴びて、甲子園出場を逃した。

 29年前のシーンは今でも鮮明に覚えている。「4打席目まで抑えていたので、一塁が空いていたけど、歩かせるつもりはなかった。セカンドの前でイレギュラーした球は、そのまま右中間に抜けていった」。あまりの打球の速さに驚いた。

 自分から話すことはなかったが、周囲から常に「イチローと対戦した男」と言われてきた。引退は21日の試合をテレビ観戦して知った。静高の同期でライングループでも、すぐその話題が回ってきた。

 聖地への夢 息子に託す 現在、静岡市清水区にある建材製造業のアドンに勤務。一女一男に恵まれ、長男・琉要(るい)くん(14)は、蒲原シニアに所属し、望月さんは父母会長を務める。「子供には、あの時みたいなピンチの場面で抑えられる投手になって欲しいですね」。希代の安打製造機と高校時代に対戦した男は、息子に甲子園の夢を託した。(塩沢 武士)

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