【球宴】熊本で初開催 西武勢31年ぶり2戦連続MVP

スポーツ報知
5回無死二塁、甲斐の適時打で生還した二塁走者・源田(左から3人目)は、ナインと笑顔でハイタッチ(カメラ・関口 俊明)

◆マイナビオールスターゲーム2018第2戦 全セ1―5全パ(14日・熊本)

 16年熊本地震から復興の道を歩む被災地に、九州男児たちが勇気を届けた。地方球場では5年ぶり、熊本県内で初開催となった球宴で、全パの源田が先制二塁打を放つと、甲斐が2者連続適時打。全セでは青木、宮崎が打で沸かせた。西日本豪雨で大きな被害を受けた広島が本拠地の大瀬良と中崎は無失点投球と、被災地へ向けて懸命のプレーを見せた。最優秀選手賞(MVP)は源田。第1戦(京セラD)の森に続き、3試合行われた87年、2、3戦の石毛、清原以来の西武勢による2戦連続受賞となった。

 外野後方にそびえる天然記念物の巨大なクスノキに見守られながら、九州男児が躍動した。被災地・熊本での初球宴。火の国の野球少年たちが郷土・九州のヒーローに目を輝かせた。

 大分県生まれの源田が主役に躍り出た。5回無死三塁で、中堅右に球宴初安打となる先制二塁打。「いいところに飛びました」。父の実家が熊本にあり、幼少時には何度も訪れた。震災では「親戚もいっぱいいたし、心配だった」。13日の森に続き、西武勢31年ぶりの2戦連続MVPに「びっくりしています。いい思い出になりました」。球場に駆けつけた両親、親戚、ファンを歓喜の一打で沸かせた。

 同じ大分出身で92年度生まれの甲斐が左前適時打で続いた。「九州でオールスターの場にいられるのが幸せ。高校の時から知っている源田と2人で打ててうれしい」と声を弾ませ、「野球で少しでも勇気づけられたら」と復興を願った。

 セで先陣を切ったのは、宮崎出身の青木だ。初回1死で中堅右へ二塁打。「1本出てよかった」とメジャーから復帰し、7年ぶりの球宴安打を届けた。熊本地震の発生当時は米マリナーズに在籍。ファンレターなどで被害の大きさを知ったという36歳が、オールスター戦士の心情を代弁した。

 「子供たちも元気でしたし、試合中からみんなの名前を呼んだりして、元気な声が聞こえたので、ほっとしました。復興の意味を込めての開催だったのでよかった。元気なプレーを見せて、少しでもいい方向に向かってくれたら」

 全パの工藤監督は言う。「野球復興のためにも、やっていかないと。子供たちに野球の素晴らしさを伝え、野球人口にも寄与したい」。熊本も、野球も、負けんばい。(山崎 智)

 ◆熊本地震 2016年4月14日、熊本県と大分県で相次いで発生した地震。熊本県益城町では最大震度7を2度観測した。同県南阿蘇村では、全長約200メートルの阿蘇大橋が崩落した。倒壊した住宅の下敷きになったり、土砂崩れに巻き込まれるなどして熊本県内で50人が犠牲になった。負傷者は佐賀、福岡、宮崎でも出た。また、最大18万人が避難。避難生活に伴う体調悪化などの災害関連死は140人を超えた。

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