【西武】黄金時代再び…M4からのV逸、毎年のように主力流出も編成方針ブレず西鉄時代の流れくむ補強

スポーツ報知
17年流出・野上

◆日本ハム4―1西武(30日・札幌ドーム)

 80年代から90年代にかけて黄金時代を築いた西武は10年間、優勝から遠ざかっていた。なぜ08年の優勝を最後に頂点に届かなかったのか、なぜ今季は独走できたのか。10年間を知る関係者の証言をもとにひもとく。

 伊東監督から渡辺監督に代わった08年、西武はBクラスからリーグ制覇と躍進した。就任2年目以降の5年間は全て勝率5割以上ながらV逸。10年にはマジック4からソフトバンクに逆転優勝される悲劇を味わった。弱くはないが、勝負どころで勝ち切れない面が響いた。

 伊原監督の14年、田辺監督の15~16年は3年連続Bクラス。鈴木球団本部長は「FAで主力が抜けたのは痛かった」と回想した。11年オフに帆足、12年中島、13年涌井、片岡と主力が立て続けに移籍。田辺前監督は「攻撃と守りのバランスがかみ合っていなかった」と低迷期を振り返った。

 ただ、“黒歴史”もまた今季の優勝につながっていた。10年に選手として“M4からのV逸”を経験した佐藤外野守備走塁コーチは「マジックは0にしないと意味がない」と選手に説いた。今季は野上がFA移籍した穴を榎田(3月に阪神からトレード)、メジャー移籍した牧田の穴をマーティン、ヒース(ともに途中入団)が埋めるなど弱点を先回りして補った。移籍組が短期間でフィットする土壌は、外様が多かった西鉄時代からの流れという。

 V逸期間も含め、ドラフト中心の編成はブレなかった。最近2年は辻監督の若手積極起用と編成方針の相乗効果が選手の成長を早め、生え抜きぞろいの強力打線が完成した。10年間の教訓も含め、編成、育成、采配と全てが結実した1年だったと言える。

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