【中日】岩瀬を支えた2人の恩師 山本昌氏「続けろ」 落合氏「高年俸は邪魔」

スポーツ報知
11年、9回に抑えで登板する岩瀬(右)にマウンドでボールを手渡す落合監督

 現役最年長の中日・岩瀬仁紀投手(43)が2日、今季限りでの引退を正式に表明した。ナゴヤD内で会見し「交流戦くらいから自分の球が投げられない感覚に陥った」と、6月頃から限界を感じ、引退を意識し始めたことを打ち明けた。その上で「野球に対する心残りはない」とプロ生活20年の完全燃焼を強調した。

 岩瀬が20年のプロ生活を全うできたのは、山本昌氏と落合博満氏、2人の“恩師”のおかげだろう。

 山本昌氏が引退を公表した15年9月26日のことだ。ナゴヤ球場で練習を終えた同氏の袖を、すねた口調の岩瀬が「ちょっとちょっと!」と引っ張ったのを目撃した。自身は同年、左肘痛の影響で登板ゼロ。引退するなら一緒に、と考えていたようだ。しかし先輩に「まんちゃん(岩瀬のニックネーム)は続けろ」と説得されていた。この日「できるなら1年でも長くと思っていた」と話したのは、満身創痍(そうい)でも50歳まで現役を続けた山本昌氏の薫陶があってのことだ。

 当時の落合GMには「お前の好きなようにしろ。ただし長くやりたいなら、高い年俸は邪魔になるぞ」と言われた。そのオフ、2億5000万円減の年俸5000万円でサイン。それまで「抑えの座を追われれば辞める」と公言していたが、この大減俸をきっかけに「チームが勝つためのピースになればいい」と考えを改めた。たとえ力が衰えても、適材適所で活躍する場所はある。晩年の岩瀬の姿は、同い年の中堅サラリーマンである記者の心にグッと刺さった。(中日担当・田中 昌宏)

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