【阪神】矢野新監督、猛虎再建へ「逃げてやらない後悔より、やるべき」

スポーツ報知
阪神の次期監督就任を受諾した矢野2軍監督(中央)

 阪神の新監督に矢野燿大2軍監督(49)が就任することが15日、決まった。西宮市の球団事務所を訪れ、就任要請を受諾することを表明した。近日中に就任会見を行う。今季は17年ぶりとなる最下位に沈み、11日に金本監督が電撃辞任を表明したばかり。突然の監督要請にもかかわらず、12年ぶりにファームを日本一に導いた熱血漢が、タイガース再建の陣頭指揮を執ることを決断した。

 歯切れのいい言葉が、複雑な思いを断ち切った決意を示していた。「本当に悩んだんですけど、逃げてやらない後悔より、やるべきかなと思いました」。金本監督が電撃辞任を表明してからわずか4日。矢野2軍監督が監督就任要請の受諾を表明した。

 今季は17年ぶりとなる最下位に沈み、チームが激しく揺れ動いた。金本監督が志半ばで身を引くことを決め、矢野2軍監督が正式に就任要請を受けたのは、宮崎でフェニックス・リーグを指揮していた13日だった。14日に帰阪し、家族らと相談。自ら、決断のリミットをこの日に設定していた。

 「家族もそうだし、今年の金本監督の大変な姿を見ていたので。このタイミングで(就任要請)というのは、悩む材料になった」。東北福祉大時代からの盟友が辞任勧告に近い形で責任を取ることになり「タイガースの監督というのは責任が重い。そこも悩みました」と素直に打ち明けた。それでも、タイガースへの愛や男気が、最後に上回った。

 「ホッとしている、というのが正直な気持ちです」と、交渉にあたった揚塩球団社長が吐露した。崩れたパズルを組み直すような難しい仕事。コーチ人事やドラフト、FAや外国人補強と、来季へ向けた作業も山積している。契約は3年以上となるもようで「金本路線を引き継げるのは、矢野監督だと思います」と期待を寄せた。

 現役時代は正捕手として03、05年と2度のリーグ優勝に貢献。今季は2軍監督として「超積極野球」を合言葉に若手の可能性を広げ、12年ぶりにファーム日本一。火中の栗を拾う形となった矢野新監督が猛虎再建のカギを力強く握りしめた。(長田 亨)

 ◆矢野 燿大(本名=輝弘、やの・あきひろ)1968年12月6日、大阪市生まれ。49歳。桜宮高、東北福祉大を経て、90年ドラフト2位で中日入団。97年オフに大豊とともに、久慈、関川との交換トレードで阪神に移籍。正捕手として2003、05年にリーグ優勝。08年北京五輪出場。10年に現役引退。通算1669試合で、打率2割7分4厘、1347安打、112本塁打、570打点。ベストナイン3回、ゴールデン・グラブ賞2回。16年、金本新政権の下で作戦兼バッテリーコーチ就任。2軍監督に就いた18年はファーム日本一。右投右打。家族は夫人と2女。

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