【広島】新井の代打同点二塁打から菊池王手弾!

スポーツ報知
8回に勝ち越し3ランを放った菊池が新井(左)と抱き合って喜ぶ(右から松山、上本=カメラ・保井 秀則)

◆2018 マツダ クライマックスシリーズ セ 広島4―1巨人(18日・マツダスタジアム)

 思わず塁上で両手を突き上げた。0―1の8回2死二塁。代打・新井はカウント2―2からフォークに食らいつき、左翼線に落ちる同点適時二塁打を放った。「気持ちMAXで打席に入りました。(あの喜び方は)冷静になれば恥ずかしい…。でも仕方がない。うれしかったので」。それまで1安打と沈黙していたチームを救うタイムリーに、鯉党の大歓声が球場に響いた。

 試合を決めたのは「弟分」の菊池だ。田中が四球を選び一、二塁の場面で左中間へ決勝3ラン。ベンチから飛び出た新井は何度も跳びはね、菊池を抱きしめた。2人でお立ち台に上がると、菊池は「お兄ちゃんが打ったので弟も打たないと。ベンチで? 恋人のように抱きつかれました」と笑った。

 一体感あふれるナインを「兄弟みたい」と新井が例えれば、その背中を見てきた菊池は「人間的にも野球人としても育ててくれたお兄ちゃん」と尊敬のまなざしを向ける。そんな普段の関係性がにじみ出るヒーローインタビューは、再び熱い抱擁で締めくくられた。

 20年間の新井の現役生活は成功と失敗の積み重ねだった。リーグ最終戦の7日、球団は球場で「栄光の新井Tシャツ」を限定販売し、1000組が30分で完売。反響は大きかったが、2枚組のうち1枚は「1693三振」「242併殺打」「175失策」と“現役ワースト3冠”を皮肉る内容のため、球団は以降の大量生産をためらった。

 だが、新井の考えは違った。「それだけ悔しい、つらい思いをしてきたということ。ミスした分、うまくなろうと思ってやってきた。今でも、うまくなりたいと思っている」。球団はその思いをくみ取り、追加生産を決定した。引退間近でも41歳の飽くなき向上心が、この日の一打につながった。

 終盤の逆転劇に緒方監督は「底力を大舞台でも出してくれた」と最敬礼。19日に勝つか引き分けでも2年ぶりの日本シリーズ進出が決まる。「とにかく明日の試合に全力でぶつかっていく。家族一丸で頑張りたいと思います」と新井。頼れる「長男」が火をつけた勢いは、日本一まで止まらない。(種村 亮)

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