「根本陸夫伝」出版記念イベントで元西武・大田卓司氏が熱トーク「潜水艦みたいな人でした」

スポーツ報知
「根本陸夫伝」出版記念イベントで熱弁する大田卓司氏(右は著者の高橋安幸氏)

 「球界の寝業師」と呼ばれ、事実上のGMとしてドラフトやトレードで辣腕(らつわん)を振るった根本陸夫氏について、ノンフィクション作家の高橋安幸氏がつづった集英社文庫版「根本陸夫伝」の出版記念イベントが16日、東京・神田小川町で行われた。根本氏の愛弟子で、西武の強打者として鳴らした大田卓司氏(67)が出演。77人の野球ファンが集結する中、根本氏の素顔について高橋氏と熱くトークした。

 根本氏は広島、西武、ダイエーで監督を務め、西武では管理部長、ダイエーでは専務球団本部長、球団社長を歴任。カリスマオーナーから絶大な信頼を得て、有望選手を次々と獲得。巧みな手腕で常勝軍団の土台を築いていったが、謎に包まれている部分も多い。

 大田氏は「インテリでした。ダンディーでカッコ良かった。理論派で理屈っぽくて…。監督業を離れると、どこにいるか分からなかった。奥さんに聞いても、分からないと言う。潜水艦みたいな人で、常にどこかに潜っていましたね」と神出鬼没ぶりを懐かしんだ。築き上げた情報網や人脈について「選手が遠征に行くと、誰とどんなお店に行ったか、全部知っていました。けがをした選手がいると、全国の治療の先生を探してくれた。面倒見のいい方だった」と振り返った。

 ドラフトでは表からも裏からも様々な手法を駆使して、他球団を出し抜き、逸材を獲得した。トレードはファンに驚きをもたらし、球界を活性化させた。「こんな人はもう現れないでしょう。すごいという言葉しかない。根本さんは僕からしたら、人生のオヤジ。愛するオヤジです。根本さんのおかげで60歳まで野球界でメシを食わせていただいた。感謝しかない」と思い出話を披露した。

 前半戦では高橋氏と、イベント「魅惑の社会人野球」の主宰でおなじみプロ空頭氏が、根本氏の球界での功績を時系列に沿って徹底解説。濃すぎる人生とエピソードの数々に、オーディエンスから拍手が送られた。

 同書は高橋氏が王貞治氏、衣笠祥雄氏、森繁和氏、石毛宏典氏、工藤公康氏、大久保博元氏ら球界OB、経営者、アマ野球関係者に徹底取材し、1999年に72歳で死去した根本氏の実像に迫った一冊。2016年に集英社から単行本化され、今年8月には文庫化された。野球ファン必読の濃厚な内容となっている。

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