FA浅村の移籍先、楽天が有力 石井GMの言葉響いた

スポーツ報知
11年9月、勝利投手となり浅村(右)を迎える石井一

 西武から国内フリーエージェント(FA)権を行使した浅村栄斗内野手(28)の移籍先に楽天が有力となったことが19日、分かった。この日、浅村と直接交渉を予定していたオリックスの長村球団本部長が浅村の代理人から断りの連絡があったことを明かした。楽天は前日(18日)に浅村と都内で初交渉を行い、石井GMが「移籍ということをマイナスに捉えてほしくなかった。(移籍により)プレーヤーとしても人としても幅が広がる」と熱弁。新たな環境に身を置く大切さを訴え、浅村の心に響いていた。

 浅村の思いが揺れた。動向に注目が集まる中、一つの行動を起こした。この日の午前中、浅村と直接交渉を予定していたオリックスの長村球団本部長によると浅村の代理人から「今回は他の球団を選ばせてもらう」と断りの連絡があったことを明かした。同時に移籍先として楽天が有力候補に浮上した。

 楽天は前日(18日)に浅村と都内で初交渉を行い、4年20億円級の大型契約を提示したとみられ、これまで西武でつけていた背番号3も用意。石井GMは01年オフにポスティング・システムでヤクルトからドジャースに移籍。07年オフにはヤクルトから西武にFA移籍した自身の経験談を踏まえ、「移籍ということをマイナスに捉えてほしくなかった。(移籍により)プレーヤーとしても人としても幅が広がる」と熱弁。新たな環境に身を置く大切さを訴え、浅村の心に響いていた。

 今年9月にGMに就任し、交渉の席に“初出馬”した石井GMは「セカンドを守れて打撃もすごくて、背中で引っ張れるスペシャルな選手というのはなかなかいない。もう現れないと思う」と、熱意をぶつけた。今季最下位に沈み、チーム打率2割4分1厘、総得点520点がともに12球団ワーストと貧打に嘆いた楽天は、固定できなかった二塁手と言うこともあってシーズン中から水面下で調査を進めてきた。球団初の日本一に輝いた13年以来の栄冠へ、喉から手が出るほど欲しい選手だ。楽天には石井GMはもちろんのこと、岸や渡辺直などかつて西武で共にプレーしていた“先輩”たちが在籍している。そういった周囲の人の存在も精神的に大きいだろう。

 16日には非公開でソフトバンクと交渉を行った。楽天、西武の3年総額15億円を上回る4年総額25億超の大型契約を提示したとみられるが、石井GMの熱弁もあり、浅村の心は楽天との交渉を終えた時点でソフトバンクへ傾くことはなかったもようだ。

 浅村は今季、主将として西武の日本人で初の「3割・30本・100打点」を達成し、チームを10年ぶりのリーグ優勝へと導いた。127打点で打点王にも輝き、球団にとっては欠かせない存在だ。国内FA権行使の表明会見では「これまでお世話になったライオンズを最優先に考えたい」と話しており、最後まで西武への宣言残留の可能性も残している。二者択一の中で、早ければ今日にも球団に最終決断を伝える可能性がある。

 ◆楽天二塁事情と打撃成績 今季、二塁手として先発最多出場は、藤田の63試合だった。一塁も守れる銀次がチーム事情もあって藤田に次ぐ49試合にスタメン出場。山崎、渡辺直(ともに11試合)、西巻(6試合)もポジションを狙っているが、圧倒的な力を発揮した選手は出てこなかった。打撃面でもチーム打率2割4分1厘、520得点は12球団ワーストと打ち勝つ野球ができず。チームで打率トップの島内でも、2割9分1厘8毛でリーグ8位。本塁打チーム1位、アマダーの20本も同14位で、打点58のウィーラーも同18位と数字を残せていない。

 ◆浅村 栄斗(あさむら・ひでと)1990年11月12日、大阪府生まれ。28歳。大阪桐蔭高では「1番・遊撃」で08年夏の甲子園優勝。同年ドラフト3位で西武入団。2013年は一塁手として110打点で打点王。14年以降は二塁手。17年から主将を務め、主に3番。今季も127打点で打点王に輝いた。182センチ、90キロ。右投右打。年俸2億1000万円。

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