【ソフトバンク】工藤監督に3度目「正力松太郎賞」…王会長「後世に語り継がれるシリーズ」

スポーツ報知
日本一に輝き、ナインに胴上げされる工藤監督

 プロ野球の発展に貢献した監督、選手らに贈られる「正力松太郎賞」の選考委員会が20日、都内で行われ、ソフトバンクを2年連続の日本一に導いた工藤公康監督(55)が選ばれた。3度の受賞は王貞治氏(4度)、秋山幸二氏、原辰徳氏(ともに3度)に次ぐ4人目。賞金500万円とメダルが贈られる。

 工藤監督はスケジュールが合わず会見はなかったが、球団を通じて「本当に光栄なこと。この賞はチームにいただいた賞だと思っています」とコメントした。

 レギュラーシーズン2位の悔しさをポストシーズンにぶつけ、非情なタクトも振るった。「苦渋の決断や、選手に苦しい思いをさせるなど負担もかけた」。1勝2敗(西武のアドバンテージ含む)で迎えたCS最終ステージ第3戦。松田宣をスタメンから外した。広島との日本シリーズでは第5、6戦で内川に送りバントを命じた。主力2人の心中を察しながらも、勝利のために心を鬼にした。8月上旬にベンチ入りしていた野手全員と食事会。就任4年目で初の試みで、互いに意見を交わしたことで、大胆な采配に踏み切れた。

野球界に貢献 選考委員会の王貞治座長(78=ソフトバンク球団会長)は「今年の日本シリーズは、過去の中でも内容のある、後世に語り継がれるシリーズだった」と称賛した。工藤監督は昨年も同賞候補に挙がったが、プロ野球シーズン新記録の54セーブ、日本シリーズMVPにも輝いたサファテに譲った。今年は手腕が評価されて受賞。「この栄誉ある賞に恥じることのないよう微力ながら野球界に貢献していきたい」と誓った。(戸田 和彦)

 ◆選考過程
 日本シリーズでの工藤監督の采配が高い評価を得る一方、中西氏と杉下氏からは広島・緒方監督のセ・リーグ3連覇を称賛する声も相次いだ。山本氏はセットアッパーに成長したフランスアを例に育成手腕の高さを評価。一騎打ちの様相を呈したが、最後は「日本一が前提」(山本氏)、「緒方監督には来年の日本一に期待する」(王氏)と、工藤監督に落ち着いた。

 選手では3度目のトリプルスリーを達成したヤクルトの山田哲が候補に挙がった。王氏は「十分評価に値する」とした上で、「個人的な意見だが、ヤクルトが日本一になっていたらあり得た」と説明した。昨年はプロ野球新の54セーブを挙げたソフトバンク・サファテが受賞。今後は記録的な成績でチームを日本一に導く活躍をした選手が受賞するケースも増えてきそうだ。

 ◆工藤 公康(くどう・きみやす)1963年5月5日、愛知県生まれ。55歳。名古屋電気高(現・愛工大名電高)から81年ドラフト6位で西武入団。93年にMVP。94年オフ、ダイエーにFA移籍。99年はダイエー初優勝に貢献してMVP。そのオフ、FA宣言して巨人に移籍。横浜、西武を経て、無所属だった11年12月に現役引退。実働29年で635試合に登板し、224勝142敗3セーブ、防御率3.45。最優秀防御率4回、最高勝率3回、最多奪三振2回。15年にソフトバンク監督に就任し、4年間で3度の日本一。左投左打。家族は夫人と2男3女。

 ◆正力賞選考委員 王貞治(ソフトバンク球団会長)、杉下茂、中西太、山本浩二(いずれも野球評論家)、門田隆将(ノンフィクション作家)

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