【日本ハム】金子千尋と合意 オリックスを自由契約の120勝右腕、ハムで初優勝だ

スポーツ報知
日本ハムが来季の契約合意に至った金子千尋(写真は合成)

 日本ハムは4日、オリックスから自由契約となっていた金子千尋投手(35)と来季の契約合意に至ったと発表した。球団の基本方針である「スカウティングと育成」からすれば極めて異例とも言える、プロ通算120勝を誇る大物の獲得に成功。交渉解禁直後から電光石火でアタックを仕掛けるなど、熱意のこもった交渉が実った。金子は今月中旬にも札幌市内で入団会見を行う。

 今月2日の交渉解禁からわずか2日。電光石火のオファーで日本ハムが14年のパMVP&沢村賞右腕の獲得に成功した。札幌市内の球団事務所で取材に応じた吉村GMはこの日、金子側から入団の意思を伝えられたことを明かした。右腕への期待について「(入団)会見で栗山監督がお話しされると思う」としたが、高揚感は隠せなかった。

 誠意が実った。金子は4年契約の最終年だった今季、4勝に終わり、今季年俸の6億円から野球協約の減額制限(1億円超は40%)を超える5億円減とみられる大幅減俸を提示されてオリックスを退団した。2日に自由契約選手として公示されると、すぐに吉村GMが初交渉に臨んだ。交渉では、現場とフロントが一体で勝利を目指していく姿勢などの日本ハム“らしさ”をアピール。金子はプロ14年で優勝経験がない。日本一を目指す熱いオファーに、気持ちも固まったとみられる。

 日本ハムでは“異例”と言える補強となった。球団の基本方針は「スカウティングと育成」。金子クラスの大物を補強した例は、04年にメッツの新庄剛志氏や、05年にヤクルトからFA宣言した稲葉篤紀氏(現侍ジャパン監督)など少数だ。今季10勝のマルティネスとの残留交渉が長引き、去就が不透明という事情はあったが、方針から外れてでも欲しい戦力だったと言える。

 課題だった先発を補強できた他にも、プラスは大きい。今季11勝の上沢も24歳と若く、ローテ投手は20代前半から中盤の選手が多い。今後は金子の技術や取り組みを間近で観察することが可能となり、生きた教本となる。上沢は「いろいろ教えてもらったらプラスになる」と期待し、打者の近藤も「対戦するのも嫌な投手。ありがたい」と喜んだ。

 オリックス時代の背番号「19」は現在、トンキンが背負う。吉村GMは「(決定は)これから」としたが、慣れ親しんだ番号を渡す可能性もある。契約内容は今月中旬の入団会見で発表される見通し。V奪回への期待を背負って「日本ハム・金子千尋」が誕生した。

 ◆北海道日本ハムに加入した主なベテラン教材

 ▽新庄剛志 北海道移転初年の04年にメジャーから入団。プレーのみならず、奇抜なパフォーマンスでも話題をさらい、森本ら若手を引っ張った。06年に現役引退表明し、44年ぶり2度目の日本一。SHINJO劇場の花道を飾った。

 ▽稲葉篤紀 05年にヤクルトからFA移籍。シュアな打撃に加え、全力疾走と献身的な姿勢で中田らの模範となった。06年の日本一と4度のリーグ優勝に貢献。現在は侍ジャパン監督を務めながら、スポーツ・コミュニティ・オフィサーとして球団を支える。

 ▽二岡智宏 08年オフに巨人からトレード移籍。代打の切り札として、栗山監督1年目の12年には打率3割5分3厘をマーク。周到な準備と無類の勝負強さを示してチームの成長を促し、2度のリーグ制覇をもたらした。

 ◆金子 千尋(かねこ・ちひろ)1983年11月8日、新潟県生まれ。35歳。長野商2年春にセンバツ出場。トヨタ自動車から04年ドラフト自由獲得枠でオリックス入団。10年に最多勝、13年に最多奪三振。14年は最多勝と最優秀防御率の2冠で、沢村賞とリーグMVPに選ばれた。今季は17試合に登板して4勝7敗、防御率3.87。180センチ、77キロ。右投左打。既婚。

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