【侍ジャパン】稲葉篤紀監督、王球団会長と原監督から金言「非常にいい時間を頂いた」

スポーツ報知
グラウンド上で笑顔を見せる歴代侍ジャパン監督の(左から)王会長、小久保氏、日本代表・稲葉監督

 侍ジャパンの稲葉篤紀監督(46)が5日、宮崎から12球団のキャンプ視察をスタートした。ソフトバンクのキャンプでは2006年WBC優勝監督の王貞治球団会長(78)から、巨人のキャンプでは09年WBCを制した原辰徳監督(60)から、20年東京五輪に向けて激励とアドバイスを受けた。2人の世界一監督から受けた“金”言に、稲葉監督は「非常にいい時間を頂いた」と感激。中身の濃い充実したプレ五輪イヤー始動日となった。

 スーツに身を包んだ稲葉監督が、原監督に手招きされた。サンマリンでの1か所打撃中。捕手の真後ろにあるキャンプ名物“原タワー”に、新旧の代表監督が並んで座った。カッと目を見開き、身ぶり手ぶりの原監督と、背筋を伸ばし、何度もうなずく稲葉監督。代表監督の重責を知る2人だけの貴重な時間が流れた。

 原監督「強いチームをつくる、自分の思い描くチームをつくるのと、いい選手を選ぶのでは選択肢が全然変わってくる。僕は前者で行くべきだと思う」

 09年WBCで連覇を達成した原監督は当時を思い起こしながら、世界一監督としての経験を可能な限り現監督へ注ぎ込んだ。稲葉監督の質問にも正面から答えつつ、純粋なオールスターチームを結成するより、自分のカラーを出し、勝つためのメンバー選考をすべき―と熱く説いた。

 稲葉監督「戦術、戦略の話や、原監督が09年、どう選手を選んでいったか、どういう気持ちでやっていたか、いろいろなアドバイスを頂きました」

 数時間前には、もう一人の世界一監督と濃密な時間を過ごした。午前に視察したソフトバンクのキャンプでは、06年WBCで日本を初代王者に導いた王会長から背中を押された。

 王会長「日本での五輪、とにかく楽しみ。五輪は夏でみんなコンディションがいい。(代表監督の)緊張感もいいものと捉えてやったらいいと思う」

 選手の状態、監督としての重圧など、不安要素を取り除くように優しくメッセージを送った。隣にいた侍ジャパンの小久保前監督には「バックアップしてやってくれよ」と協力を促した。

 2球団の視察を終えた侍指揮官は「非常にいい時間を頂きました。恵まれた環境で監督をやらせていただいている、そんな思いです」と感謝を口にした。プレ五輪イヤー“初日”。金メダルに向けて、稲葉監督が無形の財産を得た。(宮脇 央介)

 ◆王ジャパンと原ジャパンの世界一

 ▽第1回WBC(06年=王監督)

 1次リーグ(L)は韓国に敗れ2位通過。2次Lの米国戦は勝ち越し犠飛の判定が覆る誤審に泣き、サヨナラ負けした。韓国にも再び敗れて1勝2敗となったが、米国がメキシコ戦を取りこぼす波乱で奇跡の4強。準決勝で韓国、決勝でキューバを下し、初代王者に輝いた。松坂、イチローが投打の軸となり、第2先発制や好調ロッテ勢の大量8人選出なども勝因となった。

 ▽第2回WBC(09年=原監督)

 1、2次ラウンド(R)計7戦のうち、韓国と4度対戦。1次Rは2回戦で勝ったが、1位決定戦で敗れ2位通過。逆に2次Rは2回戦で負け、1位決定戦を制した。準決勝で米国を破り、決勝は同大会5度目の日韓戦。延長10回にイチローの決勝打で連覇を達成した。松坂は2大会連続MVP。稲葉は4番を務めるなど打率3割超えをマークした。ダルビッシュを抑えに配置転換する大胆な采配も光った。

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