【阪神】大山悠輔「力抜く勇気」で開眼 つかんだ極意で「全試合出場」へ…単独インタビュー

スポーツ報知
開幕へ向けての意気込みを語る大山(カメラ・豊田 秀一)

 阪神の大山悠輔内野手(24)が8日、スポーツ報知の単独インタビューに応じた。昨季はシーズン前半に打撃不振に陥ったが、“脱力打法”で活路を見いだし、終盤の9月に打率4割1分5厘、9本塁打と爆発。開花の兆しを見せた。3年目の今季は矢野監督が4番候補として期待。右方向への打撃を磨き、全試合出場を目指す。「大山世代」と呼ばれるような結果を残せば、20年の東京五輪の侍ジャパン入りも見えてくる。(取材・構成=中村 晃大)

 ―昨季は117試合に出場し、打率2割7分4厘、11本塁打、48打点。開幕戦では巨人・菅野から一発を放ち、全ての数字で1年目を上回った

 「自分の中ではいいスタートダッシュを切れたと思ったんですけど、実際そんなに甘くない。とにかく壁にしかブチ当たりませんでした」

 ―6月下旬には打率が2割4厘まで低迷し、2軍降格。しかし、当時2軍監督だった矢野監督にもらった言葉が転機になった

 「『やるのは自分だから、後悔しないようにしっかり自分の思ったことをやれよ』と。打てない時は考えがブレブレでした。ファームに落ちてからはある程度、自分の中で軸となるものを決められたので、それを継続できたことが9月の結果につながったのかな。(2軍は)10日間くらいでしたけど、本当に大きな時間でした」

 ―9月は16日のDeNA戦(横浜)で3発を含む6打数6安打などと大爆発。手の上下動を増やし、タイミングの取り方を変えたように見えた

 「変えたというよりもリラックスというか、打てなかった時を映像で見たら硬くなっている部分が多かったので。脱力って感じですかね。力を抜くことってすごく勇気のいることだと思う。それが打撃につながったかは分からないですけど、意識してやっていました」

 ―今キャンプでは、浜中打撃コーチと右方向への打撃を強化している

 「癖として右に打つ時にどうしても手だけで操作してしまうので、しっかり自分のやりたいスイングと変わらないように、バットの出し方であったり、そういったものを話しながら練習しているという感じです」

 ―浜中コーチは、打率3割、30本塁打を打つには中堅から逆方向への打球が重要と指摘している

 「チームの軸として出るからには、まだまだ打率が低い。引っ張りだけではどうしても限界があると思います。(例えば)DeNAの宮崎さんは右方向の安打が多かったとデータとしてある。だからといって最初から狙うのではなく、追い込まれてからの右方向だったり、外の球をうまく合わせたり、そういうのができたらいい。やっぱり引っ張った時が一番いい打球がいく。引き出しとして身につけていけたらいい」

 ―3年目の今季は4番の有力候補。「全試合出場」を目標に掲げるが、そのためにオフに取り組んだことは

 「けがをしない体作りは現役である以上、ずっと変わらないテーマ。去年(秋の)キャンプが終わって一人暮らしするようになってから、食事の面に関してすごく勉強するようになりました。今まで任せっぱなしだったんですけど、自分の体は自分しか分からない。少し知っておくだけでも考え方が変わってくる。この野菜にはどんな栄養とか、軽くですけど、そういうところからまずは始めています」

 ―今季は新人の近本らが入団。藤浪、北條ら同世代の選手が増え、主力としての期待も大きくなってきた

 「まずは個人個人がしっかり成績を残すこと。その結果、僕たちの代で引っ張っていくようになればベスト。いい意味で切磋琢磨(せっさたくま)しながらやっていきたいと思います」

 ―昨年3月には侍ジャパンに初選出された。来年には東京五輪が控えている

 「目指していないと言ったらウソになりますけど、阪神で試合に出て結果を残さないことには雲の上のこと。選ばれたい気持ちはありますけど、今はまだ一つ一つしっかりやっていきたいです」

 ◆大山 悠輔(おおやま・ゆうすけ)1994年12月19日、茨城県生まれ。24歳。小学1年時に野球を始める。つくば秀英高(茨城)から白鴎大に進学し、4年春に関甲新学生リーグ新記録の8本塁打、リーグタイ記録の20打点をマーク。16年ドラフト1位で阪神入団。17年9月2日の中日戦(甲子園)で球団史上初の新人4番弾を放った。181センチ、84キロ。右投右打。年俸3000万円。

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