【日本ハム】吉田輝星、桑田氏の金言で決意「直球」進化誓った

スポーツ報知
テレビの収録で桑田氏のインタビューを受け、笑顔で握手をする吉田輝(右)(カメラ・関口 俊明)

 日本ハムのドラフト1位・吉田輝星投手(18)=金足農=が18日、桑田真澄氏(50)=スポーツ報知評論家=から金言を授かり、直球を磨き直すことを誓った。沖縄・国頭(くにがみ)村での2軍春季キャンプを桑田氏が訪問。練習後に対談が実現し、背番号18の大先輩から受けた「ストレートを磨いてほしい」との助言に納得。昨夏の甲子園で“金農旋風”を巻き起こした自慢の直球を進化させる。

 輝星はレジェンドとの会話で大切なことを思い出した。練習後に桑田氏との対談を終えた新人右腕は、すっきりした顔で口を開いた。「しっかり直球を磨いてほしいと言っていただいた。気持ちがしっかり決まった」。プロの世界で確かな足跡を刻んだ大先輩の言葉に、覚悟が決まった。

 桑田氏には深い縁を感じる。金足農が夏の甲子園に初出場した1984年。準決勝で対戦したPL学園のエースが桑田氏だった。高校、プロ時代、両方の映像も見たことがあり「桑田さんのことはすごく知っていた。球速以上のキレ、直球がすごいな」という憧れの存在。昨夏の甲子園準決勝、日大三戦前に同氏が始球式を務めて以来、半年ぶりの再会だった。

 直球の重要性をこんこんと説かれた。プロで長く活躍するためにも“ベース”は直球。「ストレートを磨いてほしい。分かっていても高めで空振りが取れる、ファウルになるようなストレートを磨いてほしい」と伝えられた。輝星にとって直球は最もこだわりのある球。1回1安打1失点で実戦デビューした16日の紅白戦では、29球のうち、23球を直球で勝負した。だが、空振りを奪えたのは、わずか2球だけ。登板後は先輩投手に「プロってこんなに空振りを取れないんですか」とこぼした。

 自慢の直球がプロでは通用しないのではないか―。先の見えない不安と、先輩投手が多様な変化球を投じる環境。自身も様々な球種を投げなければいけないと思い始めていた。直球のキレ、制球が昨夏の甲子園に追いつかないという、モヤモヤが積もり、悪循環に陥った。「高校時代は直球に自信を持っていたので『変化球がダメなら直球で』という考え方だった。プロに入って全体をしっかりまとめないといけないという考えにズレていた」。会話の中で、方向性が間違っていたと気づかされた。

 19日にブルペン入りし、22日のシート打撃登板に備える。「直球だけじゃ無理かなと思っていたけど、逆にその直球を磨くことを強く思ってもいいのかな。自分の大事なものをしっかり磨いていかないといけないなと思いました」。背番号18の大先輩と固い握手を交わした右腕の表情に、迷いは消えていた。(秦 雄太郎)

 ◆桑田 真澄(くわた・ますみ)1968年4月1日、大阪府生まれ。50歳。PL学園では甲子園に5季出場し、1年夏と3年夏に優勝。85年ドラフト1位で巨人に入団。21年間で通算442試合、173勝141敗14セーブ、1980奪三振、防御率3・55。2007年、米大リーグ・パイレーツに入団。8月にメジャー昇格。通算19試合、0勝1敗、防御率9・43。08年3月、現役引退。2年目の87年にベストナインと沢村賞を獲得。94年はセMVP。02年に2・22で2度目の最優秀防御率。ゴールデン・グラブ賞8度。最多奪三振1度、沢村賞1度。

 ◆吉田 輝星(よしだ・こうせい)2001年1月12日、秋田市生まれ。18歳。小3から野球を始め、金足農では1年夏にベンチ入り。同秋からエース。昨夏は秋田大会から甲子園準決勝まで10試合連続完投勝ち。決勝で大阪桐蔭に敗れた。大会通算62奪三振は歴代6位。昨年9月のU18アジア選手権では高校日本代表のエース格を務めた。175センチ、84キロ。右投右打。家族は両親、弟。年俸1000万円(金額は推定)。

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