【西武】勇者・内海哲也、パの強打者斬りへレベルあげる

スポーツ報知
満開の梅の下で笑顔を見せる内海(カメラ・竜田 卓)

 西武・内海哲也投手(36)が1日、スポーツ報知のインタビューに応じ、新天地で迎えるプロ16年目の心境を語った。巨人にFA移籍した炭谷の人的補償として、電撃移籍が発表されてから約2か月。新天地でのチームメートとのふれあいや、パ・リーグから見た古巣・巨人への思いなどを語り尽くした。(取材・構成=森下 知玲)

 “電撃移籍”の衝撃から約2か月。内海の表情はすがすがしかった。

 「最近は自分のペースで調整できているかな。みんなが受け入れてくれたから。(最年長で)むっちゃ気遣われるかなって思ったけど、自然体で接してくれたから、それがすごい入りやすくて助かる~って思った。(南郷キャンプ中に行われた)投手会も過剰に接待されたら嫌やなって思ってたけど、普通に『乾杯!』って」

 17年は開幕2軍スタートで2勝7敗、防御率5・77と苦戦。しかし昨季は開幕2軍も、7月31日のDeNA戦(横浜)では4年ぶりに完封勝利をマークするなど、5勝5敗、防御率4・17と復調の兆しを見せた。

 「去年はキャンプの時から年間通して(調子が)すごくよくて、ここ何年かで一番、満足したシーズンだった。『これなら来年も頑張れるかな』という、プラスな気持ちになったのは久しぶりだった」

 そんな中で舞い込んだ西武移籍。本人には発表当日の午前中に通告された。

 「びっくりしたし、はじめは受け入れられへんというか、えぇーっという感じが、2週間くらいありましたね」

 東京・大手町の球団事務所であいさつした際には言葉に詰まり、目には涙を浮かべた。そんな左腕の背中を押したのは、かつてのチームメートであり監督でもあった、高橋由伸氏だった。

 「みんな『うそでしょ』という反応が多い中、由伸さんだけ『よかったじゃん』って。寄り添うんじゃなくて『頑張ってこい』みたいな感じだったのでそれがうれしかった。『軽っ!』って思ったんですけど、一番気持ちが楽になって、もやもやした感じが飛んだね」

 切り替えは早いタイプ。新たな気持ちで初めてのキャンプ地・南郷に乗り込んだ。初日からブルペン入り。ソフトバンクの柳田や楽天・オコエらパの強打者を想定して投球練習を行い、実戦のイメージを膨らませた。

 「去年までは広島ばっかり想像していたけど、今はソフトバンクとか、誰がいたっけ?ってやっている。パ・リーグの打者はバンバン振ってくるイメージ。(要注意は)やっぱりソフトバンク。強いなあと思いながら、広島と同じ感じなんかなとか想像するけど、対戦してみないと分からないので楽しみ」

 レオ軍団の一員としての自覚も芽生えてきている。

 「もうライオンズの選手だと思ってる。キャンプの第1クール目で、サイドノックを受けていて外野を見たら、ライトのフェンスに『埼玉西武ライオンズ』って横断幕があったでしょ。今、巨人のファン事業部におる小山(雄輝)がキャンプ視察でスタンドにいて『おお~』って見たら、ジャイアンツのウィンドブレーカーを着ていて。『あー』ってなった時にスタンドを見たら、その横断幕が目に入って。『あ、俺ライオンズに入ったんやな』って自覚したかな」

 15年間巨人一筋。正直、心残りはあるだろうか。

 「ないですね。育ててもらって本当に一番有名というか、やりがいのある球団で15年もやって成長できたっていうのは感謝しかない。もうファンの一人になったって感じかな。子供の時からずっと好きやし、それは今も変わらんし。ジャイアンツ・ファン以上のジャイアンツ・ファンになってるかな」

 キャンプ中、練習後の過ごし方は意外なものだった。

 「ドラクエを最近またやり始めて。子供の時にドラクエ5をやっていて、3回クリアして、4回目くらい。俺、一番好きなんよ。半身浴しながらケータイでドラクエやって。南郷に入ってからね。主人公の名前、“なんごう”やもん(笑い)。レベル上げ、やってます」

 2日、佐賀で行われる広島とのオープン戦開幕投手に抜てきされた。相手打線には、同じく人的補償で移籍した長野もいる。

 「広島には(昨季)やられていて、緊張するマウンドになる。チョーさんがいても関係ない。しっかりやってきたことを実戦で投げられるように。(開幕ローテ入りは)競争なので、結果を求めて投げていきたい」

 新天地での返り咲きを目指して、“勇者・内海”の冒険の旅が幕を開ける。

 ◆ドラクエとは 1986年にエニックスからリリースされたファミコンソフト「ドラゴンクエスト」を第1作とするロールプレイングゲームの略称。のちに続編が次々と発売され、「ドラクエシリーズ」として社会現象化した。「ドラクエ5」は92年にスーパーファミコン用ソフトとして発売され、「天空の花嫁」の副題とともに、名作として愛されている。

 ◆内海 哲也(うつみ・てつや)1982年4月29日、京都・城陽市生まれ。36歳。敦賀気比高から東京ガスを経て、2003年ドラフト自由獲得枠で巨人に入団。07年に最多奪三振のタイトルを獲得、11年には18勝、12年には15勝で2年連続最多勝。12年はベストナインも受賞。プロ通算15年で324試合に登板し、133勝101敗、防御率3・21。186センチ、96キロ。左投左打。家族は妻と子供4人。年俸1億円。

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