【ロッテ】2年目左腕・永野「広場恐怖症」闘病を公表 試合は0封好救援

スポーツ報知
8回から登板し、無失点に抑えた永野

◆オープン戦 ロッテ0―4ヤクルト(12日・ZOZOマリン)

 ロッテの2年目左腕、永野が8回からの1イニングを1安打無失点に抑えた。最速146キロの直球を軸に「真っすぐで押せた。スピンの利いた球が投げられた」と納得の表情を浮かべた。

 試合後に「広場恐怖症」との闘病を公表した。九国大3年時に「動悸(どうき)がして、飛行機なら外に出られなくなるんじゃないかとか、飛び降りたくなったり、死んでしまうんじゃないかという恐怖心が出てくる」と乗り物に乗れなくなる症状に襲われ、社会人・ホンダでの1年目に診察を受けて病名が分かった。

 昨年2月の石垣島キャンプは薬を飲んで飛行機移動できたが、その際も汗が噴き出し、顔は青白く血の気が引いた状態だったという。今年は2度試みたものの、断念。埼玉・狭山市のホンダ施設で練習を行い、2月下旬、キャンプを打ち上げた2軍に合流した。新幹線は各駅停車の「こだま」だけ乗車可能。昨季の仙台遠征では埼玉の自宅から4時間かけて車移動した。

 最速154キロ左腕は2017年ドラフトの上位候補だった。他球団は病気のことを知って手を引いたが、ロッテは「チャンスをあげたい」(球団関係者)と獲得に踏み切った。現在は副作用を考慮し、投薬ではなくカウンセリングやVR(バーチャルリアリティー=仮想現実)療法で治療を行っている。「この先もどうなっていくか分からないけど、しっかりと治療していきたい」と永野。今後も困難を必ず乗り越える。同じ病で苦しむ人たちの希望になるために。(長井 毅)

 ◆広場恐怖症 通常であれば何でもないような状況に対し、過剰な恐怖や不安を持つ「不安症群」の一つ。恐怖を抱く対象で最も多いのが、すぐに逃げ出すのが難しい場所や状況に置かれたときで、飛行機や高速で移動する新幹線などに乗る際にほぼ毎回恐怖や不安を誘発する。公共交通機関、広い場所、閉所を避けていることが6か月以上、持続している不安障害に含まれる精神障害。投薬やカウンセリング、VR(バーチャルリアリティ=仮想現実)療法などの治療法がある。

 ◆永野 将司(ながの・しょうじ)1993年3月2日、大分・杵築市生まれ。26歳。日出暘谷高では外野手。九州国際大で投手転向。3年時に148キロを計測も4年時に左肘を故障しトミー・ジョン手術を受けた。1年間の浪人生活を経て社会人・ホンダ入り。2017年ドラフト6位でロッテ入団。昨季はZOZOで3試合、楽天生命で1試合の4試合に登板し0勝0敗、防御率0・00。181センチ、82キロ。左投左打。家族は夫人と1女。年俸850万円。

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