元近鉄外野手の長岡学さん、南海モデルユニの大宮七里ボーイズの監督で奮闘〈下〉中村紀洋の打撃フォームを解説 

スポーツ報知
昨春、ベースマン杯で優勝して大宮七里ボーイズの選手に胴上げされる長岡さん

 元近鉄外野手の長岡学さん(49)は強打を期待されながらも1軍出場を果たせず引退したが、高校、プロの8年間を「かけがえのない時間」と振り返る。そこで学んだことを子どもたちに伝えようと、2010年に中学生チームの大宮七里ボーイズを発足させた。しかし、自由に使える専用グラウンドが確保できなかったこともあって、最初は部員が集まらなかった。「元プロの肩書があれば何とかなると考えていましたが、甘かったですね」と長岡さん。それでも特別支援学校の校長も務めた信方壽幸(としゆき)代表(65)と二人三脚でPRに努め、3年目には部員が30人を超えた。

 長岡さんが「指導者としての原点」と名前を挙げるのが市川口高(現川口市立高)時代の恩師で13年に86歳で亡くなった内山清元監督。「ずっと練習を見ているだけで、ほとんど教えない人でした。だけどその分、言葉が重くて選手の信頼も厚かった」と振り返る。プロの厳しさも知る長岡さんは、子どもたちの自主性を引き出すことに重点を置く。「『これをやれ』とか、押しつけはしません。自分で『こうしたい』と相談してきたら、とりあえずやらせる。試行錯誤する中から自分で気付く経験をさせてあげたい」と強調した。

 90年代の近鉄で個性の強い強打者を見てきただけに、打撃フォームも型にはめない。「ホームラン王を取ったノリ(中村紀洋氏)やブライアントも打ち方はそれぞれ。昔は『たたけ』でしたが、そのつもりでバットを振っても結局軌道は水平からややアッパー気味になる。それなら『ホームランを打つイメージで振ったらいい』と言ってあげたほうが、子どもたちもやる気が出ますよね」

 ただ、体作りのトレーニングは細かく口を出す。影響を受けたのは、プロ1年目のコンディショニングコーチ・立花龍司氏。「体重74キロと細かった自分の体を大きくするため、毎日練習終了後に筋トレのやり方など2時間ほど教えてもらった」という。学んだのはトレーニング方法だけではない。当時の近鉄は豪快な野球が持ち味の反面、体調管理は選手任せだった。「『体を大きくする秘訣(ひけつ)は、毎日酒を飲んでたくさん食うこと』と言う人もいるくらいで、ロッカールームはいつも酒臭かった。そんなところにスポーツ医学を学んで入ってきた立花さんは、いろんな人とぶつかっていたけど信念を曲げずに野茂(英雄氏)らの信頼を勝ち取った。自分もそんな指導者になりたいですね」。大宮七里ボーイズは昨年夏、全国大会予選の代表決定戦で敗退し、初出場まであと一歩だった。大きな花が咲くのも近そうだ。(構成・芝野栄一)

=次回は川越ボーイズOBの元DeNA投手・加賀繁さん

 ◆長岡 学(ながおか・まなぶ)1969年11月5日生まれ。埼玉県川口市出身。左投げ左打ち。市川口高時代に俊足強打の外野手として注目され、87年のドラフト5位で近鉄に入団したが1軍出場のないまま92年に退団。現在は会社勤めの傍ら大宮七里ボーイズの監督を務める。18年ベースマン杯埼玉県支部大会などで優勝している。

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