児嶋選手が初出場V…「第37回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」

スポーツ報知
表彰台でカップを掲げる(左から)準優勝・菅野、優勝・児嶋、3位・小川の3選手(がまかつ提供)

 「第37回G杯争奪全日本がま磯(チヌ)選手権」は3日、台風21号の影響で競技日程が短縮されて広島・広島湾の磯で行われた。東北から沖縄までの各地区予選代表にシード、推薦を加えた36選手が参加。3人で争われた決勝戦で終了間際に貴重な1尾を釣り上げた児嶋秀一選手(56)=松山市=が初出場で優勝した。

 その瞬間、児嶋選手の脳裏に優勝の2文字が浮かんだ。終了3分前だ。アタリを捉えると、確かなチヌの引きが伝わってきた。「誰も釣っていないのは分かっていた。もしかして、と…」。絶対に逃がせない貴重な1尾。だが、1キロに満たないチヌを取り込むのはキャリア豊富な56歳にとっては雑作もない。難なくタモに収め、G杯奪取を決めた。

 13年前から今治地区予選に出始めてようやく初出場を果たした。午前中の予選リーグ第1試合は0尾。「今日は1尾でも釣れたらいいなと思っていた」。しかし相手も0尾で引き分けると、2試合目は2尾、3試合目も1尾釣って2勝。終わってみると1ポイント差でグループ1位になり、決勝へ。「初めてで決勝まで残ってどうしよう。そればかり考えていた」。

 そんな謙虚な姿勢に、勝利の女神がほほ笑んだのか。決勝の舞台は阿多田島・外浦のスベリ。餌取りが多く、釣りづらい状況で時間だけが過ぎていく展開。「暑さで手が引きつりだし、持病の腰痛もきつかった」と言うが、集中力は切らさなかった。終了間際、沖の潮が動くのを見逃さず、仕掛けを少し重くして遠投。「1投目に変なアタリが出て、2投目にウキが入ってくれた」。

 5、6年前からチヌ釣りでは「アタリが分かりやすいし、前アタリから入るまでの感覚が好き」と棒ウキを愛用する。スタイルは「潮を読み、まき餌のたまった位置に刺し餌を立った状態でもってくる」。都合で試し釣りもできず、広島での釣りは初めてだったが「いつもの釣りを、冷静にできた」と振り返った。

 長らく中国勢が独占していたG杯チヌのタイトル。他地区に渡ったのは20年ぶりだ。「数も釣れるし、大型もバンバン釣れる所が近くにある。だからこれまで外に出たことがない」と今治での釣りにこだわる。四国のベテランが新しい歴史を切り開いた。(深尾 卓司)

 準優勝・菅野雅之選手「手前を釣るのが好きなので予選の磯は自分に合っていたが、決勝の阿多田島は餌取りが多く難しかった。初出場で2位は満足だが、こんなに疲れるとは思わなかった。もっと体力をつけないと」

 3位・小川達矢選手「予選3試合に集中しすぎて決勝は疲れていたし、水の配分を間違えてまき餌が思った所に行かなかった。14年に3位決定戦で負けて4位。今回は3位でシード権があるし、来年はさらに上を目指したい」

 岩本敬昭・審査委員長「予選は場所ムラがあったし、決勝の阿多田島はスズメダイやベラが多く釣りにくかったが、頑張ってくれた。久々に優勝が四国に渡ったが、皆さん腕が上がり、地域差がなくなってきた。大会を通じて技術を広めるという趣旨からも喜ばしい」

 ◇試合形式 各試合、規定サイズ以上のチヌの総重量で勝敗を決定。同重量の場合は総尾数、さらに同尾数の場合は1尾長寸で決定。予選リーグは36選手が6組に分かれ、マンツーマンで3試合(各100分)。勝ち数(同数の場合はポイント)の多い選手が上位。6組を3グループに分け、各組1位のうちグループでも1位の3選手が決勝進出、2位は順位決定戦へ。決勝、順位決定戦は1試合120分(40分で釣り座交代)。釣果なしの場合は予選リーグの成績で順位を決定。餌はまき餌、刺し餌とも主催者が配布したものを使用。

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