西田選手が逃げ切り優勝…「第48回報知グレ釣り選手権」

スポーツ報知
表彰式ででカップと賞状を掲げる(左から)準優勝・鰰澤、優勝・西田、3位・竹中の3選手

 「第48回報知グレ釣り選手権」は20、21日に愛媛・宇和島湾で開催された。歴代名人、昨年大会上位のシード選手を含む48人が参加。釣ったグレの総重量(予選リーグ1回戦は20センチ以上15尾愛媛・宇和島まで、以降は23センチ以上の尾数制限なし)で競った。ナベ島で行われた決勝戦(2時間)では西田智之選手(47)=松山市・釣闘会=が、鰰澤拓也選手(47)=姫路市・ZEBRA=を870グラム差で下して初優勝を飾った。

 硬い表情が、ようやく緩んだ。ナベ島で行われた決勝戦。審査結果が発表され、勝利を知った西田選手。「しんどかった。勝って安心した」。2日間、合計600分を戦い抜いた王者の顔に、安どの笑みが広がった。

 いきなり賭けに打って出た。午前9時20分に始まった決勝戦。ジャンケンに勝った西田選手は、沖に向かって右側の釣り座を選択した。ナベ島では本命の釣り座を後半に残す左→右が絶対的な勝ちパターン。あえてセオリーを破ったのだ。「性格的に追い上げるのが苦手。潮のことも考えた」。午前11時過ぎの干潮に向けて潮が止まりつつある状況。「釣れる時に釣っておく」という狙い通り、前半で鰰澤選手に17尾の大差をつけて、先行逃げ切りを果たした。

 巧みに良型を仕留めていった。10メートルほど沖に本命ポイントを定め、その手前にまき餌を多く投入。本命ポイントへのまき餌は1、2発に抑えて、群れの中から遊泳力の高い良型を動かした。また、餌のローテーションも功を奏した。「くわせオキアミスーパーハード」(マルキユー)とエビのむき身を交互に使用。状況に合わせて投点や餌を替えながら、中間距離の浅ダナで勝負した。

 実は大きなミスが一つあった。勝負を懸けた決勝戦の前半、対戦相手との境界線を誤って理解。右の方しか狙わないことをいぶかしがった宮川競技委員長から、途中で「もっと左だぞ」と忠告された。「完全に勘違いしていた」。そんな致命傷になりかねないことでも問題にならないたくましさが、この日の西田選手にはあった。

 3度目の出場で栄冠をつかんだ47歳。しかし、勝利の余韻に浸る時間は全くなかった。史上最年少28歳の池田翔悟名人が待つ大一番が、すぐに控えていた。「1回戦からよく釣れる場所が続いていて、体が疲れていた。あと2時間できるか心配だった」。王者の顔から笑みは、もう消えていた。(小谷 竜一)

 ※名人戦の詳細は11月1日付の釣り紙面で掲載予定です。

 ◆決勝戦の試合経過  21日午前9時20分からナベ島で行った。時間は2時間(1時間で釣り座交代)。晴れ、弱風、ナギ。ジャンケンで勝った西田選手が沖に向かって右側、鰰澤選手が左側の釣り座で開始した。前半は西田選手が、序盤から中間距離の浅ダナで順調に数を伸ばして17尾差の大量リード。後半は3尾と失速したが、鰰澤選手の追い上げを振り切って初優勝を果たした。

 ○…過去2度の優勝を誇る鰰澤選手は準優勝。3年ぶりの頂点にあと一歩、届かなかった。決勝戦では前半に大差をつけられたが、後半に17尾を釣って西田選手を猛追。「2回ぐらい良型のハリ外れがあった。あれが取れていれば…。詰めが甘い。前半にあれだけ離されると、やっぱり厳しい」。870グラム差での惜敗に悔しさをにじませていた。

 3位・竹中満和選手「残念。準決勝では西田選手と数は一緒だったけど型が全然、違った。ただ、同じ釣闘会から名人が出たのは喜ばしいこと。来年は身内同士で名人戦をやりたい」

 宮川明・競技委員長「せっかく、まき餌を多く持っているのに本命のポイントにしか打たないような選手が多く、歯がゆい思いで見ていた。応用ばかりせず、基本を大切にしてほしい」

 ◆試合経過 1回戦 天候は晴れで微風、ナギ。48選手が12組に分かれて4人一組の総当たり(3試合)でポイントを競った。試合時間は80分(40分で釣り座交代)。1・2組、3・4組という具合に2組ずつ区切った中からポイント、合計総重量順に1人ずつワイルドカード獲得者6人を選び、合計18人が2回戦に進出。石村仁選手、小松和伸選手といった歴代名人が敗れた一方、報知APG・生駒浩史選手、本紙「釣りガール美咲の磯釣り日記」でおなじみの山口美咲選手ら実力者が勝ち残った。

 2回戦 1回戦に続き、18選手が3人ずつ6組に分かれて2時間(40分で釣り座交代)戦った。使った磯はナベ島、十割、マサカバエ、立石バエ、ウドのハナ、タダナミ4番。23センチ以上、尾数制限なしの総重量で競い、十割に上がった西田智之選手が16・61キロ(53尾)で最高釣果をマークした。

 準決勝 21日午前6時半頃から開始。6選手が3人ずつ、マサカバエと十割に分かれて上がった。時間は2時間(40分で釣り座交代)。マサカバエでは中盤、沖に向かって右端の釣り座で数と型を稼いだ西田選手が12・71キロ(35尾)で快勝。十割では鰰澤拓也選手が12・78キロ(44尾)で混戦を制した。

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