富津沖で60センチ良型のエビスズキ…1対1の駆け引き面白い伝統釣法

スポーツ報知
60センチ級の良型を手にする坂本幸雄さん(浜新丸で)

 東京湾・富津沖で江戸前の伝統釣法、エビスズキが始まった。富津港の報知指定・浜新丸では、3日から乗合船を開始。生きたエビを餌富津沖にして釣り、60センチ前後の良型を主体にトップは11尾を記録している。スズキはハリ掛かりすると一気に走るのが魅力。強烈な引きとエラ洗いで、釣り人を楽しませている。

 エビスズキは、静と動の釣りだ。船長に指定されたタナでじっとアタリを待ち、ハリ掛かりしてからはスズキは下へ潜ったり、エラ洗いしたりと大暴れ。この釣りにはまる人は多い。葛飾区の坂本幸雄さん(59)もその一人だ。40年来のファンでシーズン中は月に1~2回ペースで通う。今回は墨田区に住む兄の喜弘さん(76)を誘い、浜新丸に乗船した。

 釣り場は富津沖水深13メートル。幸雄さんは、リールがない手バネ竿で狙った。道糸の9メートルの所に付けた印を水面に合わせると、静かにアタリを待った。すると、モゾモゾとかすかなアタリが来た。竿先を50センチほど送り込む。エビをスズキが食い込んだとみると、一気に竿を振り上げた。「バシッ」と音が聞こえるような鋭く強い合わせだ。ここからスズキは大暴れ。ようやくタモ網に収まったのは、60センチ級の良型だった。「(エビスズキには)最初のアタリから送り込んで食わせ、掛ける楽しさがありますね。道糸を手でたぐるので、強い引きの魚との1対1の駆け引きが面白いです」と伝統釣法を満喫していた。幸雄さんは、その後も数を伸ばし、この日トップの6尾を上げた。

 右舷船尾では、市原市の三島孝さん(70)が、45~65センチのスズキを6尾、0・8キロのヒラメを1尾上げた。三島さんは魚を釣り上げると、すぐにエラの付け根と首筋を切り、尾ビレの付け根にもナイフを入れ、血抜きをしてからクーラーボックスに収めた。「今日は江戸前のスズキとヒラメの刺し身の食べ比べかな。白身のスズキは何にしても、おいしいからね。和風でも洋風でもあうね。晩酌のさかなに最高だよ」と笑顔を見せた。

 浜新丸では3日に38~53センチのスズキ1~5尾、9日には1~6尾、10日はトップ11尾と数を伸ばした。濱名博一船長(55)は「シーズンは始まったばかりだが、富津沖の漁礁や第2海堡周りなど広範囲に魚の反応があります。食いは良いようで、強い引きが楽しめますよ」と話した。これから初夏に向け本格的なシーズンが始まる。(田中 清)

 ◆餌付けが大切

 エビスズキで大切なのは餌付けだ。サイマキエビは、まず頭部にあるツノを折る。次に口からハリ先を入れ、ツノの下へ真っすぐに刺す。ハリ先は殻からほんの少し出す=写真=。腹ビレでパタパタと泳ぎ、足で立てばOKだ。ハリ先が茶色く見える脳に触れるとエビは死んでしまい、スズキの食いは落ちる。弟の幸雄さんと釣りを楽しんでいた墨田区の坂本喜弘さんは「狙うタナは決まっているので、エビが泳ぐように餌の付け方さえ注意すれば、スズキは必ず食って来ますよ」と言う。

 ◆めも スズキ釣りの近況、乗合船は富津港浜新丸(TEL0439・87・4967)。乗合船は潮に合わせて出るので、出船時間は要問い合わせ。料金は餌、氷付きで1万1000円。貸し竿500円、オリジナル仕掛け200円、オモリ200円。

 山下橋山本釣船店(TEL045・622・0997)では、渡船で横浜堤防や川崎新堤からシーバスが狙える。

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