【藤原義雄の南紀直送便】海に潜って手応えつかんだ…ゼロスルスル誕生秘話・後編

2018年2月8日7時0分  スポーツ報知

 まず、私の考えた「ゼロスルスル仕掛け」とは、どのようなものかを説明しよう。グレは、まき餌のオキアミは拾うが仕掛けの刺し餌を食ってくれないときがある。そこで「ハリスとハリと付け餌だけなら食ってくれるのでは?」と発想した。ウキはもちろんアタリを取るための道具だが、あくまでハリスの一部という考えだ。刺し餌がなじむとウキからウキストッパー(ウキゴム)が離れていき、30~40センチ空くとウキごと沈み始める。浅ダナから深ダナまで広範囲に探れるのだ。

 着想から完成までに6、7年かかった。00号のウキ作りに苦労して時間を費やした。今では10個作れば9個は完璧だ。

 24年ほど前のこと。この仕掛けが世に出るきっかけになったのは、大西満さん(報知APG)のこんな一言だった。

 「藤原さん、その仕掛け(当時は『ゼロ沈め』と名付けていた)は、海中で自分の思い通りの状態になっているのか」。

 そう言われて「確かにその通り。自分が考えた仕掛けをきっちり説明できなければ本物ではない」と納得した。

 それから、海中実験と調査の日々が始まった。場所は、当時の自宅に近い田辺市・天神崎の磯。1人が仕掛けを振り込み、まき餌を打って時間を計った。もう1人は海中で写真撮影。私は海中で仕掛けの動きを見て、刺し餌がなじんだ45度の角度になると、旗の付いた竹の棒を上げて知らせた。

 ハリスの太さ(1、1・5、2、3号)の違いによる、なじむまでの時間や沈下速度を徹底調査。天候が違う日や流れが異なる場所で何度も何度も実験を繰り返した。データと写真は、今でも手元に残っている。

 結果は自分が思っていた通り。また、予想外の成果もあった。仕掛けを沈めている途中、付け餌がなくなるとウキは止まってしまうと言われていたが、そうではなかったのだ。一度沈みかけた仕掛けはハリスの重さで止まることなく沈んだ。ハリスが太ければ太いほどスピードは速かった。

 水深5~20メートルまで実験。ゼロスルスル仕掛けは、付け餌がなくなっても45度の角度を保って海底まで届いた。「よっしゃ、これだ!」と大きな手応えをつかんだ。

 ただ、実験中にとんでもないことが起きた。酸素ボンベがずれて泳げなくなり、パニックを起こしておぼれ、死にそうになった。異変を察知した会友が引きずり上げてくれて、何とか命拾いした。

 後日、仕掛けの理論や体を張って得たデータを大西さんに説明し、納得してもらった。大西さんは、この仕掛けを「ゼロスルスル」と命名。世に出してくれたのだった。

 ※次回は3月1日に掲載予定。

 大西満(報知APG)「当時、藤原さんからゼロスルスル仕掛けを教えてもらい、なるほどと感心した。この釣り方をほぼマスターしたときには天下無敵と思ったが、ウキ止めがないからオモリが使えず、しばらく“オモリ恐怖症”に陥った。やはりオモリを使わないといけない状況もあり、試行錯誤した。その後、山元八郎さんの抵抗が非常に少ないウキ止め(なるほどウキ止め)に移行して現在に至っている」

 ◆藤原 義雄(ふじわら・よしお)1950年9月20日、徳島・鳴門市生まれ。67歳。21歳からグレ釣りを始め、数々のトーナメントで活躍。「ゼロスルスル釣法」の考案者。がまかつ、マルキユーなどメーカー数社のインストラクターを長年務める。グレ闘友会会長。和歌山県白浜町で餌・釣具店「フィッシングベース海クン」を経営。

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