【週刊・吉永小百合】律義で無邪気、意外にせっかちな一面も…初タッグ滝田監督が語る

2018年1月14日12時0分  スポーツ報知
  • 4日の完成披露会見での吉永小百合
  • 手腕を発揮している滝田洋二郎監督

 「北の桜守」(3月10日公開)は、吉永小百合(72)の120本目の出演映画。米アカデミー賞外国語映画賞にも輝いた「おくりびと」で知られる滝田洋二郎監督(62)に節目の大役は託された。

 「自分は独立プロ出身。吉永さんと仕事することは、あり得ないと思っていた。でも一方で映画人として一度、ご一緒してみたい気持ちもあった。うれしかった。驚きの後、自分にしかできないものを、とすぐ思い直したんです」

 作品が動き始めて間もなく。「電話番号、教えてください」。吉永に言われた。これまでも一緒に組む監督の携帯番号を把握し、密にやり取りしている。特に初タッグを組む人に気を使わせまい、とする吉永なりの流儀だ。

 一瞬、戸惑ったのは滝田氏の方で「えー!? 俺も吉永さんに電話していいのかな」と思ったら、すぐに向こうからかかってきた。「この場面、このように思うのですが…」。シーンやセリフの解釈の話が始まったという。

 「想像とは少し違って気さくでさっぱり。そして男っぽい。良い意味でせっかちな一面もある方ですよ」。撮影中にも「セリフの最後(語尾)をこう変えたいのですが」とかかってくる。ごく小さな箇所だ。「全然、現場に入ってからでも大丈夫なようなことでも連絡がある。監督にはきちんと伝えておきたい、という律義さなんでしょうね」

 滝田氏は、今も「キューポラのある街」(1962年)で吉永が演じたヒロイン、ジュンの姿がよみがえることがある。特に、元気に陸橋を駆けるラストシーン。

 「見た人みんなのあの頃の気持ちを代弁してくれた。私たちに魔法をかけた人。でも撮る限り、そのオーラに埋もれては何もできないと感じた。監督と女優でありたかった。監督として主演女優に物を言える関係。それが一番大事だと思いました」

 吉永から、雪道での転倒で骨折した左手首の手術でボルトを入れた話を聞いた。ユーモラスな滝田氏が「ターミネーター(米映画に出てくる架空アンドロイド)になったの!?」と突っ込んだ。「キャハハハ」。吉永は、おなかを抱えるように笑っていた。「こんなに笑う人だったんだ、と新鮮でね。どうしても監督目線になる。俺にしか撮れない表情をずっと探していたかもしれません」

 ストーリーの結末に絡むので詳細は避けるが、監督が特にこだわったシーンが後半にある。イメージしたのはチャールトン・ヘストンが予言者モーセを演じた米国映画の名作「十戒」(1956年)。「あのシーンはヘストンの女版を吉永さんに重ねたつもりです」と力を込めるのだった。(編集委員・内野 小百美)

 ◆北の桜守 吉永が主演した05年「北の零年」(行定勲監督)、12年「北のカナリアたち」(阪本順治監督)に続く「北の三部作」最終章。一組の母(吉永)と息子の別れや再会を通じ、日本が歩んだ戦中、戦後を劇中劇も用いながら描く。阿部寛、堺雅人、篠原涼子、岸部一徳、佐藤浩市らが共演。

 ◆滝田 洋二郎(たきた・ようじろう)1955年12月4日、富山県生まれ。62歳。81年監督デビューし、86年「コミック雑誌なんかいらない」が海外でも評価され有名に。2003年「壬生義士伝」は日本アカデミー賞最優秀作品賞。08年「おくりびと」は米アカデミー賞で日本映画初の外国語映画賞を受賞。近作に17年「ラストレシピ~麒麟の舌の記憶~」など。14年紫綬褒章。

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