ばいきんまん役・中尾隆聖、涙の「ドキンちゃん、バイバイキ~ン!」声優・鶴ひろみさん送る会 

スポーツ報知
急死した鶴ひろみさんの祭壇は、ドキンちゃんやドラゴンボールのバルーンで彩られた

 昨年11月16日に首都高速上の車から意識不明の状態で見つかり、大動脈剥離のため急死した声優の鶴ひろみ(つる・ひろみ)さん(享年57)を送る会が13日、東京・青山葬儀所で執り行われ、仕事関係者約400人、ファン約350人が早すぎる別れを惜しんだ。鶴さんがドキンちゃん役を務めていた日本テレビ系「それいけ アンパンマン!」(金曜・前10時55分)で、30年来タッグを組んだばいきんまん役の中尾隆聖(66)は、涙声で「ドキンちゃん、バイバイキ~ン!」と天国へ送り出した。

 冬晴れの空を貫くように、天国のドキンちゃんへ、ばいきんまんの絶叫がこだました。別れのあいさつに立った中尾は、祭壇の鶴さんに「一緒に言っていたセリフです。息を合わせて言ってください」と語りかけた。「ドキンちゃん、バイバイキ~ン!」。いつものユニークな決め文句だが、この日だけは涙が止まらず、声がかすれた。

 まさに相棒だった。アンパンマンの憎めないライバルとして、悪だくみをしては懲らしめられる2人は、劇中でも欠かせない存在だ。「片腕をもがれたような気持ちです。みんな怒っています。こんなことが本当にあるのか…」と中尾は悲痛な表情で話した。

 押しの強いなかにも、小悪魔的な色気もチラリと見せる鶴さんの声。中尾は「(「ドラゴンボール」の)ブルマもドキンちゃんも、鶴さんが作り上げてきたキャラクター。台本に『ばいきんまん、アレ持ってきて』と書いてあっても『アレ持ってきな』と変える。ドキンちゃんらしい言い方が大好きでした。『ドラゴンボール』では僕の(演じる)フリーザもよくディスられましたね」と懐かしむ。「Wトーク(声を合わせてセリフを発すること)では一度も『せーの』と言ったことはなかった。必ず息を合わせてくれた」と唯一無二の存在に思いをはせた。

 祭壇は故人が大好きだった紫色を基調に、「格好良くスタイリッシュな大人っぽさを表現した」という約4000本のバラやスイートピーで彩られた。7つのドラゴンボールをあしらったバルーンと、ブルマやドキンちゃんのパネルを設置。ドキンちゃん柄のフラワーアレンジメントやぬいぐるみなども飾られた。

 今でも、毎週月曜に行われる「―アンパンマン」のアフレコの際は、鶴さんの席は空いたままで、ドキンちゃんのぬいぐるみがそっとその椅子に座っているという。「つらいけど、頑張って番組を続けていきます」と中尾。空の向こうに行ってしまった相棒へ届くよう、これからも声を振り絞っていくつもりだ。

 ◆荻野目洋子「会いたかった」

 歌手デビュー前の83年、フジテレビ系アニメ「みゆき」でWヒロインを務めた荻野目洋子(49)も故人をしのんだ。荻野目は主人公・真人の血のつながらない妹・若松みゆき、鶴さんは真人の恋人・鹿島みゆきを演じた。当時14歳だった荻野目は「右も左も分からなかった頃。あの頃は必死で、会話したことさえ記憶にないけれど優しく、見守っていてくださっていたのかな」と振り返り、「あらためてお会いしたかった。今だったらどんな言葉をかけてくれるのかと思っていたのに…」と肩を落とした。

 ★山寺宏一(「―アンパンマン」のチーズ役)「30年近く毎週お会いし、番組を守ろうとチームでやっているため、今でも鶴さんが座っていた席にドキンちゃんの人形を置いて、お菓子の差し入れを置いています。大好きな鶴さん、本当にありがとうございました。これからも作品頑張ります」

 ◆主な出席者 荻野目洋子、かないみか、田中真弓、TARAKO、冨永みーな、中尾隆聖、野沢雅子、古川登志夫、古谷徹、堀川りょう、村田雄浩、山寺宏一、渡辺菜生子(50音順、敬称略)

芸能

×