将棋の中尾五段、引退か現役続行かの大一番に敗れる 43歳で異業種転身へ

2018年3月28日1時5分  スポーツ報知
  • 引退が決まった中尾敏之五段

 将棋の中尾敏之五段(43)が27日、東京都渋谷区の将棋会館で行われた第44期棋王戦予選準決勝で青嶋未来五段(23)に先手番の126手で敗れ、現役引退が確定した。

 勝てば現役続行、敗れると現役引退の大一番を白星で飾ることは出来なかった。終局後、中尾五段は「残念でしたけど、精一杯やった結果なので悔いはないです。青嶋君は強かった。人生が懸かった勝負でしたけど、特にプレッシャーもなく戦えました」と語った。誠実な受け答えを貫き、「将棋は魅力的なゲーム。魅力的なゲームだから、ずっと続けて来られました。精一杯やりました。引退するのも人生だと思います」と、少年の頃から魅了され続けた世界に感謝を告げた。

 静岡県富士市出身。1998年に四段(棋士)昇段し、デビュー。その後、2008年の順位戦C級2組で3度目の降級点を取り、順位戦参加資格のない「フリークラス」に陥落した。将棋界には、フリークラス陥落後、10年以内に規定の成績を残してC級2組に復帰しないと引退しなくてはならない制度がある。復帰には「参加棋戦数+8勝以上、勝率6割以上の成績」などの条件が求められる。

 10年目に該当していた今期、中尾五段は勝利を重ね、前日まで17勝10敗。本局に勝利すると順位戦復帰が確定し、現役続行を果たすことになっていた。「フリークラス脱出は考えていなかったです。恥ずかしい話、年度で勝ち越したことが1度もなかったので、今年度は勝ち越して終わることを目標にしました。勝ち越しが確定してから、昇級を目指そうと思いました」

 2月に行われた竜王戦6組ランキング戦の牧野光則五段(29)戦では、戦後最長手数となる420手の死闘を繰り広げ、勝利を希求する執念がファンの心を打った。「負けたら可能性は無くなると思っていましたので、あれだけの手数になってしまいました」

 今後は、将棋とは全く異なる世界への転身を視野に入れている。「棋士を引退することで人生は終わりと考えていましたけど、就職活動について考え始めて、そうではないと思うようになりました。知らないことを学べる楽しさを感じます。もちろん、今までの職歴(棋士)は使えませんので、ハンデは思いきりあると思いますけど、努力したいと思います」。中尾五段の言葉や態度は、どこまでも清々しかった。

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