元「ザ・スパイダース」井上堯之さん死去…「寝てる時以外はギターを離さない努力の人だった」

スポーツ報知
引退宣言をした当時、病院でコンサートを行った井上堯之さん

 ザ・スパイダースの元メンバーで、日本テレビ系ドラマ「太陽にほえろ!」のテーマ曲などを手掛けたギタリストの井上堯之(いのうえ・たかゆき)さんが2日に死去していたことが5日、分かった。77歳だった。死因は明らかにされていない。

 井上さんは95年に初期の胃がんを手術。2009年には肺気腫と診断され、歌うことが困難となり「自己を解放して自由に生きたい」との理由で音楽活動を引退。その後、闘病しながらソロライブや楽曲制作、講演活動を行っていた。

 3月11日、東京・杉並区のライブハウスでのソロ公演が最後のステージに。元気な様子でギターと歌声を響かせたといい、次回は6月10日に行う予定だった。この日、同所でライブを行ったスパイダースの元同僚・加藤充(84)は「亡くなる前に2日間入院してたみたい」と明かし、「最近は病気がちでハグしても痩せてて。つらかったと思う」としのんだ。

 井上さんは昨年5月2日、スパイダースの同僚・ムッシュかまやつさん(享年78)のお別れ会に出席。堺正章(71)、井上順(71)ら元メンバーとステージに登壇し、ギターを響かせていた。それからちょうど1年後の訃報となった。

 井上さんはスパイダース解散後、沢田研二(69)と萩原健一(67)がツインボーカルのバンド「PYG(ピッグ)」や「井上堯之バンド」で活躍。萩原が出演した「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」のテーマ曲は後世に残る代表曲となった。萩原はこの日、スポーツ報知に「非常に残念です。いつも一緒に活動していたことを、思い出します」とのコメントを寄せた。

 通夜はこの日、都内の斎場で近親者のみで行われた。加藤は、元同僚の前田富雄(69)とライブ終演後「この後みんな集まるんです」と斎場へ移動。スパイダースのメンバーが集合したとみられる。6日に葬儀・告別式を行う。

 ◆ライブで加藤と前田が追悼 井上さんの訃報が明らかになったこの日、元スパイダースのベース・加藤、ドラム・前田が都内でライブを開催。井上さんも3か月ごとにライブを行ったステージで、井上さんがリードボーカルを務めた「ガラスの聖女」や代表曲「あの時君は若かった」など19曲を演奏した。60年以上の親交があった加藤は「『かっぺちゃん(加藤)の年まで生きる』と言ってた。こんなに早く逝ってしまうなんて早すぎます」。前田は「寝てる時以外はギターを離さない努力の人だった」と追悼した。

 ◆井上 堯之(いのうえ・たかゆき)1941年3月15日、兵庫県生まれ。62年にザ・スパイダースに参加し、リードギターとボーカル担当。解散後、沢田研二や萩原健一らと結成したPYGを経て井上堯之バンドを結成。テレビドラマ「太陽にほえろ!」「傷だらけの天使」のテーマ曲を演奏。映画「火宅の人」(86年公開)で日本アカデミー賞最優秀音楽賞受賞。87年、作曲した「愚か者」(歌・近藤真彦)がレコード大賞受賞。

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