飲みながら将棋を指せるバーでハイボール手に感想戦

2018年6月19日17時0分  スポーツ報知
  • 「あるじゃん」の店長・福田雄一さん。来客が多い時はカウンター越しに三面指しをすることもあるという(カメラ・甲斐 毅彦)

 お酒を飲みながら、気軽に将棋を指せるバーが東京にある。将棋ファンたちで毎夜、にぎわっている西日暮里の「あるじゃん(argent)」だ。駒の動かし方から気軽に教わりたい人や対局相手を探している人にもピッタリらしい。記者のように小学生の頃に将棋を覚えたものの、十数年指していないような者がフラリと行っても楽しめるのだろうか。店のホームページには「初心者でも安心」とあるので、行って、指して、飲んできた。(甲斐 毅彦)

 15歳の藤井聡太七段が、大人の棋士を次々と破っていくのを見ているうちに、急に将棋がやりたくなってしまった。この十数年、駒に触れてさえいないのだが…。周りに相手はいないし、コンピューター相手では味気ない。将棋教室に行くのも堅苦しい気がするし…と調べていたら将棋を指しながらお酒を飲めるバーがあると分かった。オープンする午後6時に合わせて行ってみた。入り口にある銀色の駒が目印だ。

 「そんな人のために『あるじゃん』というのがこの店なんです」と店長の福田雄一さん(46)。argentとはフランス語で銀を意味する。「半分趣味で」2016年に開店したというアマチュア棋士のオーナーが、攻守の要となる銀将をこよなく愛することからつけられたという。オープン以来、主に口コミで評判が広がったが「聖の青春」「3月のライオン」といった映画作品や藤井七段の活躍が追い風となり、多い日は20人ぐらいでにぎわう。年齢層は20~50代と幅広い。

 男女のプロ棋士も常連客に連れられて訪れることがあるが、あまりプロに頼らないのが店の方針だ。「草野球を楽しんでいるチームにたまーにプロが連れられて来て『おーっ』と盛り上がる。そんなゆるい感じがいいんです」と福田さん。スタッフは初心者からアマ五段クラスまで。客の棋力に合わせて相手をしたり、棋力の近い客を紹介したりする。

 福田さんと話しているうちに仕事帰りの男性たちが入ってきた。せっかくだから一局、指させてもらおう。ハイボールを飲んでいた24歳の大学院生の男性に手合わせを願った。男性は山手線沿線をウォーキングしている時に店を見つけ、現在は初段を目指しているという。

 小学生の頃に覚えた四間飛車で、守りを固めずに一気に攻め立てようと試みたが、角筋を読み落として崩されてからは攻めあぐね、丸裸の王様は気づいた時には詰まされた。久々のヘボ将棋でも負ければやはり悔しいものだ。悔しくなると酒が飲みたくなる。おお、そうか。ここはすぐに注文できるではないか。ハイボールを手に感想戦をするというのは、なかなか粋だ。

 プロ同士ならばあり得ないし、アマ同士でも真剣勝負ならば飲まないが、ほろ酔いぐらいだとむしろ勝負勘がさえるという人もいる。常連客の39歳の銀行員の男性は「ハイボール3杯くらいが、ちょうどいいんです。5、6杯飲むとだんだん鈍っていきまして…」と話す。

 中には飲まずに黙々と将棋を指している人もいるが、逆に将棋を指さずに、ただ飲んでいる人もいる。将棋が飽きた人のために店内にはチェスやオセロ…野球盤まで置かれていた。

初心者も楽しめる 福田さんも将棋を覚えたのは30代後半になってからだった。他のバーの店長をしていた時に、ふとしたきっかけで興味を持っただけだったが、40歳を過ぎてから初段レベルに達した。「ここに来て初めて将棋を指したという方もいます。ガチガチに構えなくても将棋は誰にでも楽しめるんだよ、ということを知っていただければうれしいです」

 ◆あるじゃん(argent)東京都荒川区西日暮里4の1の20 西日暮里エーシービル105。TEL03・3824・9480。営業時間は午後6時~11時(ラストオーダー)。定休日は日曜・祝日。チャージ料金(おつまみ付き)1500円(女性は期間限定で500円割引)。アルコールは各500円。ソフトドリンクは各400円。軽食あり。

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