品川祐、柔術公式戦で格闘家デビューも惜敗「アグレッシブさに欠けた」

スポーツ報知
初めて柔術の公式戦に出場し、晴れやかな表情を浮かべる品川祐

 お笑いコンビ「品川庄司」の品川祐(46=BONSAI表参道)が24日、都内で開催された日本ブラジリアン柔術連盟主催大会「第6回東日本柔術選手権大会」で、柔術家として格闘家デビューした。11人による白帯フェザー級(70キロ以下)トーナメント2回戦からシードで出場したが、判定負けを喫した。

 午後1時すぎ、道着に身を包んだ品川は、緊張の面持ちで登場。5分間の試合で、終始寝転んだ状態のガードポジションで下から三角締めなどを狙ってくる相手に、効果的な攻撃を繰り出せない状況が続いた。柔術は打撃を使わず、主に寝技のポイントを競う競技。互いにポイントがないまま時間切れとなり、審判の判定で相手に軍配が上がった。

 相方の庄司智春(42)や所属事務所にも告げず、決意の参戦だった。初の柔術公式戦を終えた品川は、「体が硬かった。でも、硬くなかったら勝てたかな」と手応えをつかみつつも、敗因について「考えながらやってしまう僕の性格が出てしまった。アグレッシブさに欠けた」と語った。多くの選手や観客に写真撮影をねだられ“嫌われ芸人”を払拭する人気ぶりを見せたが、「(相手の両足を乗り越え抑え込む)パスガードをして、横四方にいきたかった」と悔やんだ。

 品川に勝利し、トーナメント3位に輝いた横浜市の鴨川壮英さん(48=トライフォース柔術アカデミー横浜)は、「テレビの格闘技企画など見ていて、品川さんは強いと思っていたけど、それ以上に強かった」と称賛。柔術歴は品川の1年より3か月長く、「試合後に『また一緒に試合で会いたいですね』と話しました」とうれしそうに話した。

 46歳、本気の挑戦だ。品川は以前から格闘技好きを公言しており、15年ほど前から総合格闘技系の様々な道場を渡り歩いた。映画監督の顔も持ち、「もともと、かっこいいアクション映画を撮りたくて格闘技をはじめた。そのためには本当の強さを知らなくてはならない」。だが人前に出る仕事柄、顔に傷を付けられないこともあり、打撃のある格闘技大会には出られなかった。

 昨年7月、都内の道場「HALEO表参道」に門を叩き、多い時は週4日通い、本格的に柔術に取り組んだ。かつて総合格闘技イベント「PRIDE」などで活躍し、現在道場のプロデューサーを務める三崎和雄氏(42)は「真面目に練習に通っている。下からの攻撃が得意で、技も多彩」と品川の実直な姿勢を評価。この日は、試合を観戦し「良い経験になった。次は勝てると思う」と太鼓判を押した。

 ただ、品川には家族から完全に理解を得られない悩みもある。打撃のない柔術はケガをする可能性が比較的低いが、妻は心配しているようで「試合に出ると話したら嫌な顔をされた」。8歳の娘も、柔術に没頭する父にあまりいい顔をしないという。それでも「柔術は頭を使う戦術格闘技。その魅力がみんなに伝わればいい。少なくとも嫁にはわかってほしい」と本音をこぼした。

 その格闘技愛は、一見、本業以上の熱を感じさせる。柔術とお笑い、どちらが楽しいかと問うと「それが柔術だったら、問題ありますよね」と苦笑い。「お笑い芸人は他の職業と違って、柔術で面白いことがあればフィードバックできる」と、本業に生きることを力説した。今後については「次は勝ちたい。そして、60歳までに黒帯を取りたい」と、言葉は熱を帯びるばかりだった。

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