横内正「加藤剛がいる限り上にあがれない」劇団俳優で同期の訃報に思い出で語る

スポーツ報知
失意の中、劇団俳優座で同期だった加藤剛さんとの思い出を語った横内正

 加藤剛さんと劇団俳優座で同期(13期生)だった横内正(77)が9日、都内で思い出を語った。

 この日朝、訃報に接した横内は「戦友を見送った気持ち」と神妙な表情。半世紀以上も前、養成所で初めて会った際、美男子ぶりに驚いたといい「欠点のない男。こんな二枚目がいるんじゃ、かなわないと思った」と振り返った。「(俳優座の先輩の)平幹二朗さんは、仲代達矢がいる限り劇団で上にいけない、と思ったように、僕も加藤剛がいる限り上にはあがれないだろう」と、退団を決意させるほど大きな存在だった。

 1968年に結婚する加藤さんと女優の伊藤牧子との“キューピッド”でもあった。「剛ちゃんとはなかなか呼べない。剛さんはすでにスターだった。マスコミをけむに巻くため2人のデートに私も一緒に来るように言われ同伴した。何度かカムフラージュに成功した」と明かした。

 自身が若いころ、二日酔いの状態で舞台に上がったことがあった。「『俳優としてあるまじき』と激しく叱責された。役者から叱られたのは剛さんが最初で最後ですよ」と感慨深げな表情を見せた。

 不思議な縁で、加藤さんはTBS系「大岡越前」に主演し、横内は松平健(64)主演のテレビ朝日系「暴れん坊将軍」に大岡忠相役でレギュラー出演した。「同じ役で“競演”しているつもりで演じていましたよ」

 横内は8月に1年ぶりの再演となる主演舞台「リア王」が控える。7月1日にはその会見と喜寿のパーティーが行われ、そこには加藤さんの次男で俳優の加藤頼も出席。壇上で「今回の共演を父も楽しみにしている」などと話し、父が亡くなったことを悟られないよう終始、明るく振る舞っていた。「剛さんそっくりの頼ちゃんは、身内の不幸でお祝いの席に水を差してはいけない気配りをしたのだろう。その胸の内を思うと…」と言葉を詰まらせた。

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