中村吉右衛門「師匠、勝ち逃げはずるいよ」 桂歌丸さん告別式

スポーツ報知
悲しみをこらえ、歌丸さんを悼んだ中村吉右衛門(落語芸術協会提供)

 今月2日に慢性閉塞性肺疾患のため死去した落語家・桂歌丸(本名・椎名巌)さん(享年81)の椎名家・落語芸術協会合同告別式が横浜市の妙蓮寺で営まれ、約2500人が参列した。師匠の桂米丸(93)、林家木久扇(80)、柳亭市馬(56)が弔辞を読み、歌舞伎俳優の中村吉右衛門(74)は友人代表あいさつ。笑いと涙で別れを告げた。

 互いの芸を鑑賞する仲だった吉右衛門は、パリで会った記憶などを穏やかに語りつつ、声を詰まらせ「年を取ると涙腺が緩くなりまして、申し訳ございません」と泣いた。「やるべきことを全てやり尽くして旅立たれました。一人勝ちみたいなものでございます。最後に申し上げたいのは『師匠、勝ち逃げはずるいよ』ということでございます」

 デルフィニウム、コチョウラン、菊など約3000本の花々が波打つように並べられた祭壇は歌丸さんが愛した横浜の海を模したもの。遺影は2015年8月、国立演芸場での一枚が使われた。演目「壺算」「井戸の茶碗」の音声が流れ、最後の高座(今年4月)の動画が映された式場の隣には、ゆかりの品々約50点が飾られた展示室も設けられた。晩年使用した車いす、「笑点」で使った釈台や緑の着物、羽織、足袋、扇子、湯飲み、写真パネル、趣味の渓流釣り用の釣りざお。門外不出のネタ帳も置かれていた。

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