渡辺謙「集大成にしたい」…舞台「王様と私」聖地ウェストエンド大盛況

スポーツ報知
劇評で五つ星をつけた英紙「THE TIMES」が飾られた劇場の前でポーズを決める渡辺謙

 英ロンドンで上演中のミュージカル「王様と私」(9月29日まで)に主演する俳優・渡辺謙(58)がこのほど、現地でインタビューに応じた。2015年に米ニューヨーク・ブロードウェーでミュージカルに初挑戦した作品。ブロードウェーと並ぶ舞台の聖地・英ウェストエンドでも大盛況で「ものすごい受け入れられ方。高いハードルをクリアできた。集大成にしたい」と強い手応えを語った。(土屋 孝裕)

 ブロードウェー公演の倍以上となる約2300人の観客が、渡辺の表情豊かな演技に、何度も笑い声を上げた。カーテンコールでは当然かのようにスタンディングオベーションが起き、日本のスターをたたえた。渡辺は「思った以上に好感触。連日、総立ちで歓声が上がってます。笑いの度合いは米国より多いかも。イギリスはハードルが高いのかなって気がしていたけど、上手にクリアできた」と充実の笑みを浮かべた。

 15年に歌もセリフも英語でタイの王様役を熱演し、米国演劇界の最高峰「トニー賞」でミュージカル部門の主演男優賞にノミネートされた。惜しくも受賞は逃したが、同作は4冠を獲得。3年がたち、満を持して、主演女優賞を受賞したケリー・オハラ(42)とともに、に進出した。

 俳優の大沢たかお(50)が加わるなど、渡辺、オハラ以外は新たなキャストで臨んだが、評判は米公演以上。6月21日にプレビュー公演が開幕し、最初の1週間の売り上げは、ビートルズがデビューしたことでも知られる劇場「ロンドン・パラディウム」の最高記録を更新した。7月3日に本公演が始まると、5日付の英紙「THE TIMES」は最高評価の五つ星で劇評を掲載。「渡辺がpowerhouse(原動力)になっている」と絶賛した。

 米公演同様、劇場の近くに部屋を借り、徒歩で通う。舞台の聖地に乗り込んだ実感については「まだその余裕はない」と苦笑い。「キワキワを毎日生きている感じ。公演のためのコンディショニングに全精力を注いでます。全く観光はしていない。アパートと劇場を往復してるだけ。食事もひとりで自炊しています。でも、ロンドンはマンハッタンより全然住みやすい。仕事があって、生活できるならこのまま暮らしたいぐらい」。ストイックな日々だが、充実感もにじませた。再公演の予定は今のところなく「今回が最後になるかもしれないという思いを持ちながら、集大成としてやりたい」。9月末の千秋楽まで全力で駆け抜ける。

 ◆王様と私 1860年代のタイが舞台。王様と、王様の妻と子供たちを教育するために呼ばれた英国人家庭教師の物語。最初は対立しながらも互いに理解し合っていく。「Shall We Dance?」などの名曲が多数含まれる。初演は1951年でロシア出身の俳優ユル・ブリンナーが主演。56年には同名映画が世界的にヒット。

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