中村芝のぶ、今も続く師・芝翫との対話

2018年8月11日14時0分  スポーツ報知
  • 受け答えも、“はんなり”している中村芝のぶ

 かれんな役が合う美しい女形として親しまれる中村芝のぶ(50)は、東京・国立劇場(小劇場)での「第24回稚魚の会・歌舞伎会合同公演」(16~20日)の稽古中。同劇場の歌舞伎俳優養成所の出身者による舞台で、芝のぶは8回目の出演。「神霊矢口渡」で「お舟」を演じる。えび反りになって倒れる場面が有名な、娘役の大役だ。「念願がかなってうれしい。素朴な娘が『運命』で劇的に人生が変わる。死んでしまう役ですが一番好きな役でした」

 歌舞伎とは「運命」的に出会った。高1時に見た京都・南座「吉例顔見世興行」。市川團十郎、中村歌右衛門、師匠となる7代目中村芝翫らそうそうたる出演者。美術を学び伝統工芸の道に進むことを考えていたが「すばらしい女形の世界にいっぺんに引き込まれて」。

 師匠が旅立って7年。「バッターボックスに入ったら絶対三振はいけないよ。何があっても必ず一塁まで進みなさい」といつもナゾ掛けのような表現で助言された。「今も思い出し、その意味を考えます。厳しく、思いやりにあふれた神々しい方でした」

 晩年の芝翫は、独特の雰囲気をまとった芝のぶに「この不思議な不思議な芸質を何とかしてやりたいね」と言っていた。「そう思ってくださった師匠の気持ちを大事に。もっと深く考えて舞台に立ちたい」。いまも師との“心の対話”は続いている。(内)

 ◆中村 芝のぶ(なかむら・しのぶ)1967年11月8日、兵庫県生まれ。50歳。国立劇場歌舞伎俳優研修の第9期。同年4月、歌舞伎座で初舞台。同年9月、7代目中村芝翫に入門し、中村芝のぶ(初代)を名乗る。同期に新派に転じた喜多村緑郎、河合雪之丞。成駒屋。

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