唯一無二のキャッツ…劇団四季の無期限ロングミュージカルの歴史とその魅力

2018年8月11日14時30分  スポーツ報知
  • 猫にふんした出演者が圧巻のパフォーマンスを見せる「キャッツ」(撮影・下坂 敦俊)
  • インタビューに応じる劇団四季の吉田智誉樹社長

 劇団四季のミュージカル「キャッツ」が11日に東京・大井町に新設された専用劇場「キャッツ・シアター」で開幕する。1983年に東京・西新宿のテント式劇場で初演以来、全国9都市で総公演回数9802回、総入場者数969万人に上る四季の代表作。同社の吉田智誉樹(ちよき)社長(54)が、異例のロングランや専用劇場建設の理由を明かし、7月13日に亡くなった創立メンバーの演出家・浅利慶太さん(享年85)の思いも代弁した。(土屋 孝裕)

 35年前。浅利さんが「失敗したら解散」と全財産を懸け、無期限ロングランを宣言して西新宿に建設したのが、キャッツを上演するためだけの、日本初の専用劇場だった。幕を開けると社会現象となる大ヒット。当時は誰も想像もしなかった1年のロングランを記録した。

 吉田氏は、この成功が四季にとっても、演劇界にとってもターニングポイントになったと振り返る。

 「キャッツ前は、俳優がチケットを握りしめて、営業マンとして売りに行くのが当たり前。キャッツが成功したから営業部隊が専門にできて、俳優が演技に集中できるようになったんです。1年間で48万人が来場しましたが、それだけのお客さまが日本市場にいると証明したのも、演劇界全体にとって大きかった。ブルドーザーのように、何もなかったところに畑を造って種をまいた感じです」

 その後は全国を回り続け、現在に至るまで、ほぼ休みなくロングランを続けている。吉田氏は長く愛される理由の一つに、リピーターの多さを挙げた。

 「T・S・エリオットの詩集がベースなんで、1回目だと『これは何なんだ? 感動はしたけど説明できない』となる方も多いんです。どこに感動したのか、繰り返し見たくなる。本当にリピーターが多くて、1シーズンに100席買う方も少なくないです。もちろん、内容がいいというのもある。個人的には、生きざまを誇り高く歌うエンディングがお勧め。明日を頑張ろうというエネルギーを与えてくれます」

 首都圏では横浜公演以来、6年ぶりの上演。初演以来、首都圏の公演は全て、円形の専用劇場を建設して開催してきた。四季の作品の中でも、専用劇場を持つのはキャッツだけだ。

 「猫だけが出てきて、都会のゴミ捨て場で舞踏会をするという独特の設定なので、唯一無二の方がいい。ロンドンの劇場も円形で、キャッツ・シアターに近い状態だったんです。普通の演劇の設定を超えたものを提供したいという思いです」

 浅利さんにとっても、自ら作詞を手がけたキャッツは、特に思い入れの強い作品だった。今回の公演では98年以来、20年ぶりに楽曲や振り付けに変更があるが、浅利さんの“遺作”も加えられているという。

 「メロディーが増えて、ほんのちょっとですけど追加の歌詞が必要だったので、考えてもらいました。僕が浅利さんと最後に会った5月31日は、キャッツの打ち合わせだったんです。変更点を説明したら『お前らの考えている通りやれ』と、言ってました。稽古も見る予定でしたので、天国で見守ってほしい。浅利さんはいつも『いいものを、長く』と言っていたので、今後もこの作品は上演し続けなければならないと思っています」

 ◆キャッツ 満月が輝く夜、街の片隅のゴミ捨て場。猫たちが、無限の個性と行動力を持つ“ジェリクルキャッツ”を選ぶための舞踏会に参加するために集まり、夜を徹して歌い踊る。夜明けが近づき、1匹のジェリクルキャッツが長老猫に選ばれる―。「オペラ座の怪人」などでも知られる英作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーの代表作。1981年にロンドンで初演され、83年のトニー賞で最優秀作品賞などを獲得。これまでに世界約40か国で上演。

 ◆ゴミオブジェ巨人応援グッズも

 今回のステージの主な変更点は3つ。初演以来封印されていた「ランパスキャット(けんか猫)」のナンバーの復活。「ジェニエニドッツ(おばさん猫)」に登場するゴキブリたちのダンスシーンの変更。「マンゴジェリーとランペルティーザ(泥棒猫)」の曲調も変更する。
 また、劇場内にはサンダルやおもちゃなど、実寸の3~5倍のサイズで作られた約3000点のゴミのオブジェがひしめいているが、東京公演ではプロ野球・巨人の応援グッズなど約20点の“ご当地ゴミ”も飾られる。さらに、劇場のどこかに四つ葉のクローバーのオブジェが1株だけ植えてあり、見つける楽しみも味わえる。

  • ゴミのオブジェがひしめく劇場内(撮影・下坂 敦俊)

    ゴミのオブジェがひしめく劇場内(撮影・下坂 敦俊)

 ◆13年楽天16年日本ハム上演地球団V

 キャッツには上演地を本拠地とするプロ野球チームが優勝する、という“好データ”があるという。仙台公演を行った13年には楽天が、札幌公演の16年には日本ハムがそれぞれ日本一に輝くなど、35年間で15回のリーグ優勝、7回の日本一に貢献?している。東京公演開幕と同時に巨人、ヤクルトの猛攻が始まるかも。

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