4人組ダンスチーム・s**t kingz「『無言芝居』を世界中でやりたい」

スポーツ報知
飛躍を誓った「s**t kingz」の(左から)Oguri、shoji、kazuki、NOPPO

 日本ダンス界のパイオニア的な存在の4人組ダンスチーム「s**t kingz」(シットキングス)が、9月12日から2年ぶりの新作舞台「The Library」(横浜赤レンガ倉庫ほか)に挑む。全米屈指のコンテスト「BODY ROCK」に2年連続優勝(10、11年)した実力派。昨年10月に結成10周年を迎え、大手芸能事務所・アミューズと業務提携した。「無言芝居」をテーマに世界進出を掲げる4人に迫った。

 昨年のNHK紅白歌合戦。初出場の三浦大知(30)と共に、音のない状態でシンクロするダンサーたち。お茶の間の度肝を抜いた“無音ダンス”の中心にいたのが、「s**t kingz」だった。

 「日本にはない、格好いいパフォーマンスをしたい」。kazuki(31)の思いに賛同し、07年に結成。出身、年齢、ルーツも異なるが、「踊ることが大好き」という共通点で結ばれた。

 グループの特徴は、高い技術力と優れた表現力にある。結成からわずか1年足らずで、ミュージックビデオの祭典「MTV VMAJ」(08年、さいたまスーパーアリーナ)のマライア・キャリー(48)のバックダンサーに抜てき。米国の有名スタジオのオーナーの目に留まって出場権を得たコンテスト「BODY ROCK」に2年連続で優勝した。当時唯一のサラリーマンで、脱サラしたshojiは「忌引で休んだり、同じ課の方に根回しをしたりという感じ(笑い)」。その後は、世界各国のダンススタジオからオファーが舞い込み、これまで4大陸20か国・地域でワークショップを実施している。

 昨年は屋内・屋外を問わず、様々な場所で踊りまくった。3月に世界最大のテクノロジーの祭典「SXSW(サウスバイサウスウェスト)」(米国テキサス州)でソニーとコラボレーション。8月に大阪で夏フェス初出演、9月には京都・鹿苑寺金閣でパフォーマンスした。「サウスバイに言った時は、テクノロジーとの融合。動きに合わせて音が鳴る設定だった。金閣は重要文化財。荘厳な大人っぽさの中にシッキンイズムをどう入れるかを、楽しんだ。温度差の異なるパフォーマンス。振れ幅の大きさが僕らの武器。今後もそういうグループでありたい」(shoji)。

 順風満帆にみえるが、決してそうではない。メキシコでは出演料未払いも経験した。「日本に帰る直前、封筒にグチャグチャに入ったお金を渡された。『カウントできない。ちゃんとした額を振り込んでくれ』と伝えたけど、帰国後、何回連絡しても振り込まれなかった」(shoji)。「『早く払ってほしい』と入金を急(せ)かしたら、同情を買わせようとしたのか、車が事故した写真が送られてきた(笑い)」(Oguri)。

 宿泊先が用意されていないトラブルも、ザラにある。「基本的には2人1部屋だけど、欧州では泊まる所が家だったりする。2人でベッドに寝て、他はソファ、エアベッド。台湾ではラブホテルってことも…。お互いがシャワーを浴びるのを、すりガラスで見たっけ(笑い)。愚痴を言い合える4人で良かった。1人だとつらかったと思う」(kazuki)

 ユニークなグループ名の由来は「外で練習している時に“失禁させるぐらいのパフォーマンスをしてやろうぜ”という悪のりから…」(kazuki)。そのグループが昨年、結成10周年を機にアミューズと業務提携を結ぶまでに飛躍。世界進出という大きな夢をつかむところまで来た。

 「このタイミングだったから『よしやりましょう』となれた。結成当時だったら、『いやいや、俺らそんなんじゃないから』と突っぱねていたと思う」(kazuki)

 「これから、に関わってくるメチャクチャ大きな転機になる。1年早くても1年遅くても違った。自分たちがどれだけまた、新しいことにチャレンジできるか。10年をひと区切りにして、自分たちの可能性を広げたい。4人だけでやっていると、概念が固定化されてしまうことがある。第三者の『これやったら面白い』『あれやったら面白い』といった指摘も受け入れられるようになった。年齢を重ねたからかもしれないけど、オープン(な心)になったと思う」(shoji)

 新作舞台は、不思議な図書館で巻き起こる男の友情ストーリー。笑って踊って元気になれる、痛快ダンスエンターテインメントに仕上がっている。「『無言芝居』を世界中でやりたい。いつか、海外の人たちが、シッキンの作品を日本に見に来るぐらいのムーブメントを起こしたい。『ダンスっていいな』『シッキンって面白いな』と思える作品を、これからもどんどんと作っていきたい」(shoji)

 「盆踊りだったり、お祭りを開きたい。それが夢です。地方に仕事で行くと、駅前で祭りをやっていることが多い。老若男女を問わずに、フラッと見られるのはお祭りのいいところ。ショートムービーだったり、映像の分野で、4人がしゃべらないでどう表現できるか―にも挑戦したい」(NOPPO)

 「金閣でやった時に思ったけど、屋外ステージは良いなって。自然をバックに踊りたい。シットキングスとして行ったことのない場所は、まだまだ全国各地にある。47都道府県を制覇したい」(kazuki)

「kazukiが言った『こんな所でやる?』みたいなのとは逆で、日常の中の建物の一角を舞台にしたものを企画してみたい」

 衝撃パフォーマンスで、この先も国内外を魅了していく。

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