北香那、「…泣いちゃいました」声優に初挑戦！アニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」１７日公開！

　女優の北香那（きた・かな、２０）がアニメ映画「ペンギン・ハイウェイ」（１７日公開、石田祐康監督）で声優に初挑戦した。テレビ東京系ドラマ「バイプレイヤーズ」（１７年）で中国人役を好演した注目株。今作では主人公の小学４年生の少年になりきり、カナダで開催された「ファンタジア国際映画祭」の今敏賞（ベストアニメーション賞）受賞に貢献した。世界に大きく羽ばたいた新鋭女優の素顔に迫った。

　北が演じたのは街に現れたペンギンの謎を研究するアオヤマ君。落ち着いた少年の声が印象的だ。

　オーディションに合格した際、感極まった。幼少期、テレビ東京系アニメ「ぴちぴちピッチ」（０３年）を見て声フェチに。声優は夢の一つだった。「誰かの声というよりも、アニメの聞き心地いい声が好き。声優が本業ではないので『私が声優をできるとか、そんなことある！？』って泣いちゃいました」

　主演に抜てきされたが、監督から「少年らしさが足りない」という課題を示された。克服のために小学生の妹の授業参観に“潜入”。小４男子の生の声に耳を澄ませた。「つかんだのは、声のトーン。思ったより高かったです。あと、授業中にすっごい手を挙げたがる子がいたけど、私が話しかけたら『うふふ』って子供っぽく笑った。これだけしっかりしていても、子供っぽい部分はあると思い、役に取り入れました」。家では台本に声の高さやセリフを言う秒数を記入した。

　初アフレコに準備万端で挑んだが、監督から「声のトーンはいいけど、しゃべり方はかちかちした小６だと思って」と指摘された。実は授業参観に行った際、小学６年の少年とも会話をしたため、すぐに対応。背伸びする少年の落ち着きぶりと、子供らしい愛らしさを交えて演じた。共演者でアニメ映画の声優５作目の女優・蒼井優（３２）も「初めてとは思えない」と舌を巻いた。

　アオヤマ君同様、北もおませな子供だった。女優に憧れたのは幼稚園の頃。「矢田亜希子さんに憧れてた。こんなかわいい人が世の中にいるんだってことを知って、女優さんになりたいと思った。でも恥ずかしくて、将来の夢を言う場面では『お花屋さん』って言っていた。全然なりたくなかったけど（笑い）」

　小学生で母親に夢を告白し、承諾を得た。後日、原宿で今の事務所にスカウトされた。「矢田亜希子さんの事務所だったので、わーってなった」。運命を感じ、芸能界に飛び込んだ。

　そんな北の出世作が「バイプレイヤーズ」。中国人女性・ジャスミン役を演じた。「高校生の時に工場でアルバイトをしていたんですけど、そこで働く人の８割が中国人。高校生が珍しいから話しかけてくれて、その話し方が頭に残っていて参考にしました」

　独特のイントネーションと甘く甲高い声で中国人になりきった。「バイプレイヤーズを見て好きになったと言ってくれる人が９割。北香那というよりジャスミンって覚えられてます」

　役と一体化する、これこそ北の理想とする役者像だ。「安藤サクラさんが好き。（出演する映画の）『万引き家族』は、本当にそういう人かもしれないと思える自然なお芝居が超かっこいい。私もいろんな役をやって、『こういう人なの？』って思ってもらえるお芝居をしたい」

　役か素か分からない、そんな魅力を本作で放てたか。「初めて見た時は今、女の子っぽくなかった？って思って、冷静に見られなかった。でも、やるべきことは全力でやりました」。曇りのない声で憧れの女優像への道を切り開く。

　石田祐康監督の一言

「（アオヤマ君役の）オーディションでは、伸びしろや可能性を大事に選んだ。北さんは可憐（かれん）な女性の方。オーディションの時は、もう少し男の子っぽい感じで出せたらいいかなと思っていたが、かなり練習されてきたようで、本番ではやればやるほど男の子になっていた。北さんは（声優が）初めてなのにだいぶ頑張ってもらった」

　◆北　香那（きた・かな）１９９７年８月２３日、東京都生まれ。２０歳。小学６年生から芸能活動を開始し、２０１０年、ミュージカル「赤毛のアン～アンからの手紙～」で赤毛のアン役に抜てきされた。１７年からフジテレビ系「めざましテレビ」のイマドキガールを務める。趣味は映画・音楽観賞と歌うこと。特技はクラシックバレエ。１５５センチ。血液型Ａ。

　「ペンギン・ハイウェイ」あらすじ
　勉強したことを毎日ノートにつづる勤勉家のアオヤマ君（北）は歯科医院のお姉さん（蒼井）に夢中。そんな中、アオヤマ君の住む街にペンギンが現れた。アオヤマ君は同級生とペンギンの謎を解き明かそうと研究を重ねるが、お姉さんが投げた缶ジュースがペンギンに変身するところを目撃し、関係性を探る。人気作家・森見登美彦氏の代表作が原作。１１９分。