藤山直美、乳がん克服で舞台復帰 1年11か月ぶり主演カーテンコールで涙

スポーツ報知
舞台で涙ぐみながら演じる藤山直美(左)(右は渡辺いっけい)

 初期の乳がんで手術、療養していた女優・藤山直美(59)が8日、東京・日比谷シアタークリエで開幕した主演作「おもろい女」(29日まで、田村孝裕演出)で1年11か月ぶりに舞台にカムバックした。拍手が鳴りやまず、3回続いたカーテンコールでは涙ぐむ一幕も。2015年初演よりパワーアップ。完全復活を印象づけた。

 藤山は36歳で夭逝(ようせい)した天才漫才師ミス・ワカナ役。森光子さんの代表作としても有名だが、そのイメージを払拭する迫力を見せつけた。“待ち人”の登場は午後3時に始まって5分後。15歳の少女が故郷・出雲から漫才の弟子入りで大阪・千日前に出てくる場面。割れんばかりの拍手で迎えられた。

 相手役の渡辺いっけい(55)は、始まる前に藤山から「助けてくださいね」と言われていたそうだが、「全く衰えはなかった」と感心しきり。初演からいくつか変化した部分の一つに、ヒロポン(覚醒剤)中毒に体をむしばまれ、もがき苦しむ場面がある。療養中、何度も命について考えただろうが、よりリアリズムに徹した芝居は迫真を増し、観客を圧倒した。

 着物、ドレスと9回もある着替えもこなし、無事に初日を終えた藤山は終演後、「疲れました」と正直な感想。「反応がまだ遅い。五感の感覚がまだ戻っていません」と完璧主義者らしいコメントも。観客を大いに笑わせ、泣かせたが、本人に安堵(あんど)の気持ちはない。鳴りやまない拍手を「『良かったよ』ではなく『がんばれよ』だと受け止めてます」。9月15日には“パワーの源”という大好きな矢沢永吉のコンサートに行ってエネルギーを蓄えた。

 東京が終われば地方公演が待っている。12月2日の千秋楽まで藤山の復活劇は続く。

 ◆藤山直美の復帰までの経過

 ▼17年2月17日 右側乳房に初期の乳がんがあると公表。3月からの舞台「おもろい女」を中止し、7月の「七月名作喜劇公演」を休演

 ▼3月8日 腫瘍切除の手術

 ▼4月17日 「七月―」の会見に手紙でメッセージを寄せる

 ▼5月11日 手術成功を公表。療養に専念するため、年内休養。10月の舞台「ええから加減」を中止し、高畑淳子の主演舞台に変更

 ▼18年4月2日 東京・シアタークリエ10月公演「おもろい女」で舞台復帰すると発表

 ▼5月7日 来年5月の大阪松竹座公演「笑う門には福来たる~女興行師 吉本せい~」で地元復帰すると発表

 ▼8月7日 「おもろい女」の制作発表会見で約1年半ぶりに元気な姿を見せる

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