山口紗弥加が「ブラックスキャンダル」で38歳ドラマ初主演

スポーツ報知
復讐の鬼と化すヒロイン役とは裏腹な、柔らかな笑みを浮かべる山口紗弥加

 女優・山口紗弥加(38)が、読売テレビ制作の日テレ系ドラマ「ブラックスキャンダル」(木曜・後11時59分)で“芸能界の闇”に斬り込んでいる。でっち上げの騒動で消された元女優が顔と名前を変え、自分を陥れた人間に復讐(ふくしゅう)する物語。デビュー25周年にしてテレビドラマ初主演。「38歳で、すごくないですか? 夢がありませんか!?」と喜ぶ一方で「25年間、芸能界で見聞きしたことをそのまま、ドキュメンタリーのように撮っていただく感覚で臨んでいます」。紆余(うよ)曲折あった女優人生も語った。(筒井 政也)

 クールビューティーぶりとは対照的に、声が明るくはじける。変幻自在なバイプレーヤーが板に付いた中でのドラマ初主演。「今、なぜ私?と不思議な気持ちでしたが、主演って誰もが目指す場所で、ひそかに抱く夢。こんな私でも期待してくれる人がいる。求められることの喜び。誰かのために頑張ろうと思えます」。感激を糧に、ハードな役に体当たりしている。

 身に覚えがない不倫騒動で社会的に抹殺され、地獄を見た元人気女優・藤崎紗羅(松本まりか)が5年後、整形手術で顔を変え、矢神亜梨沙(山口)と名乗り、恨みを晴らすために、かつての芸能事務所にマネジャーとして潜入する―。

 自身は14歳から芸能界を渡り歩いた。「25年間でしっかり“取材”してきた自信、自負はあります。人様にお話できないような経験も結構してきたので。内容? 言えない!(笑い)」

 第1話(4日放送)では、「一滴残らず、地球上から干されて消えて!」の決めぜりふで袴田吉彦演じるプロデューサーをどん底に落とした。「自分でもビックリするような爽快感があって。ウフフ」と情感たっぷりの演技を楽しんだが、芝居中に自然と涙が…。「まったく同じ経験をした訳ではないですが、本質的に『あっ、分かる気がする』と思える瞬間があって。自分とリンクするような」

 22歳の頃、「うまくいかないことを、いつも周りのせいにしていた」。原因不明の高熱に数か月間も悩まされたこともあり、「もう辞めて福岡へ帰ろう」と決意した。小さな病院の待合室でぐったりしていると「紗弥加?」と声をかけてきたのが、デビュー前に世話になるはずだった関係者。10年ぶりの偶然の再会で、舞台「オイル」(2003年)を最後の仕事にすると宣言した。観劇した関係者は「お前は辞めちゃダメじゃないか」。確かに。苦戦した舞台ではあったが、ライブ感のある芝居の楽しさに触れ、できない悔しさでやる気もよみがえった。

 今、その関係者の下で仕事を続けている。「病院での一瞬の奇跡がなかったら今はない。多くの方に支えられて私があったんだと初めて知って。そこから私の“感謝の旅”が始まったんです。生まれ変わった、生き返ったという感じですね」。ヒロインと状況は違うが、本来あるべき自分を取り戻し、こつこつと歩みを続けて、ドラマの中心に立つ。

 「救いようのない復讐劇ですが、単純に楽しんで見ていただけたら。感情をため込んでしまっている人のはけ口になったり、どなたかの何かにつながればいいな」とPR。本作の芝居で幅が広がり、また主演のオファーが舞い込むかも。「今後? 何も考えてない。どうにでもなれ、です。今、私は自由。どこにでも行けます。風任せ。でも、暴風でどこに飛ばされても、はってでもここに戻ってきますよ」とニッコリ。“感謝の旅”に終わりはない。

 ◆山口 紗弥加(やまぐち・さやか)1980年2月14日生まれ。38歳。福岡県出身。94年、フジテレビ系ドラマ「若者のすべて」で女優デビュー。98年には歌手デビューし、バラエティー番組にも出演。00年「富江 replay」で映画初主演。03年の舞台「オイル」(作&演出・野田秀樹)を転機に女優業に専念する。近年の主な連ドラ出演作は「カンナさーん!」「モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―」など。身長158センチ。血液型O。

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