女流ホープ、前王位が禁じ手 将棋界29年ぶり4度目の2日連続反則負け

スポーツ報知

 将棋の第30期女流王位戦予選2回戦の武富礼衣女流初段(19)対石本さくら女流初段(19)戦が19日、大阪市福島区の関西将棋会館で行われ、武富女流初段が禁じ手の「二歩」を指し、反則負けした。18日には同所で行われた順位戦B級1組の対局で前王位の菅井竜也七段(26)が角を相手の駒を飛び越した升目まで移動させて反則負け。反則が2日連続で起きる超異例の事態となった。

 年度毎に男性棋戦で約2500局、女流棋戦で約430局が行われているプロの公式戦で「反則負け」が2日連続で記録される異例の事態となった。

 武富女流初段は、石本女流初段戦の終盤戦で、歩を置いていた中央の5筋に2枚目の歩を置く「二歩」の禁じ手を指して反則負けした。日本将棋連盟によると、女流棋戦の棋譜のデータベース化が始まった1987年度以降、「二歩」を指したのは20局目。

 佐賀県出身初の棋士・女流棋士として今年デビュー。いきなりトップ10人による女流名人リーグ入りを果たすなど活躍している。立命大での学業と並行しながら熱心な研究に励んでいることで知られるが、本局ではまさかのミスとなってしまった。

 将棋界では18日の順位戦B級1組で、9月まで王位として8大タイトルの保持者に名を連ねていた菅井七段が、自らの角を相手の「と金」を飛び越した升目まで移動させる禁じ手を指し、橋本崇載八段戦に敗れたばかり。

 菅井七段は昨年、挑戦者として出場した王位戦7番勝負で独創的な振り飛車戦法を披露し、羽生善治王位(当時)を4勝1敗で圧倒して初タイトルを奪取。藤井聡太七段との2局の直接対決をいずれも圧勝で飾るなど、トップ中のトップの実力者。将棋に対する真摯(しんし)な姿勢でも知られるだけに、将棋界内部やファンの間でも驚きの声が広がっている。

 日本将棋連盟によると、男性棋戦の棋譜のデータベース化が始まった1973年度以降、角行(竜馬を含む)の動かし方を誤った反則負けは15局目。女流の「二歩」よりも発生率が低い禁じ手だ。

 反則負けが2日連続で起きたのは84、86、89年以来4度目(男性棋戦のみ)。2002年2月18日には、男性棋戦と女流棋戦で1局ずつ起きている。

 過去、タイトル戦での反則負けは男性棋戦では例がないが、女流棋戦では2009年度の女流王位戦5番勝負第2局で石橋幸緒女流王位(37、現在は引退)が角を、自らの歩を飛び越した升目まで移動させ、清水市代女流2冠に敗れた例がある。(肩書はいずれも当時)

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