「清水富美加」名義最後の映画「ごっこ」が“お蔵入り”になりかけた理由

スポーツ報知
映画の初日舞台あいさつに立った平尾菜々花、(後列左から)熊沢尚人監督、千原ジュニア、川谷絵音

 お笑いコンビ「千原兄弟」の千原ジュニア(44)が20日、都内で、主演する映画「ごっこ」(熊沢尚人監督)の初日舞台あいさつを行った。共演の平尾菜々花(12)、主題歌を担当した「ゲスの極み乙女。」のボーカル・川谷絵音(29)も登壇した。

 満席の会場を見渡したジュニアは、いきなり「空席が多かったらキャンセルしようかなと思ってましたが、そういうこともなく。たくさん入っていただきありがとうございます」と第一声。17日に、“公演ドタキャン”でお騒がせの歌手・沢田研二(70)をイジるようにあいさつし、笑いを誘った。

 ある秘密を抱えた40歳目前のニートと5歳女児の親子の物語。狂気を内包する不器用な父性愛と自己犠牲の連鎖を描く。

 2015年10月から翌16年1月まで極寒の中、撮影が行われた。熊沢監督は、「やっとお客さんに見てもらえる」と笑顔。16年10月20日に亡くなった原作者の小路啓之氏の命日が公開初日と重なり、感極まった様子だった。

 3年がかりで公開にこぎ着けた今作は、実は昨年秋に公開予定だったが、“お蔵入り”になりかけたという。昨年2月にジュニアがイベントに出席した際に暴露し、あきらめの表情を見せていた。昨年2月といえば、今作の出演者である法名・千眼美子こと女優の清水富美加(23)が「幸福の科学」に出家することが明らかになり、引退騒動に発展した時期と重なる。この騒動がきっかけで“お蔵入りした”と指摘する声もあった。

 芳賀正光ゼネラルプロデューサーはこの日、取材に応じ、公開に至る経緯を明かした。清水の出家騒動が持ち上がる中、担当の前任プロデューサーが公開に向けて出資金を確保することができずに退任し、お蔵入り危機に陥ったという。芳賀氏への映画のプロデュース依頼は昨年7月頃にあったといい、映画関係者に「この映画なんとかならないか」と持ちかけられたという。

 ただ資金がほぼゼロだと分かり、「一度は断った」。しかし仮編集された作品を見ると、「ジュニアさんや平尾さんが素晴らしい演技をしている。こんなに人の心を突き動かす映画はない。これはお蔵入りさせてはいけないと思った」。そして、自身のブログに「この映画をお蔵入りさせるのはもったいない」と正直な思いをつづると、賛同してくれる人が現れた。資金集めには約半年間かかったという。

 清水主演で昨年4月公開された映画「暗黒女子」も手掛けたという芳賀氏。今作において「清水富美加」名義でクレジットされた理由については、当時所属していた事務所と出演契約したからといい、「現在所属している事務所にもお話はした」と説明。初日あいさつを迎えるに当たって、清水側に何度も交渉して、「コメントがほしい。できれば来場してほしい」と伝えたが実現しなかったという。

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