穂積隆信さん、死の直前まで借金返済 激動人生「最期は静かに」

スポーツ報知
亡くなった穂積隆信さん。著書「積木くずし」はベストセラーになった

 19日未明に胆のうがんのため亡くなった俳優の穂積隆信(ほづみ・たかのぶ、本名・鈴木隆信=すずき・たかのぶ)さん(享年87)が、晩年まで借金の返済を続けていたことが20日、関係者の話で明らかになった。

 最期の時を迎えるまで、激動の人生と闘い続けていた。非行に走った実娘・由香里さん(03年死去、享年35)を立ち直らせるまでの葛藤の日々を描いた著作「積木くずし~親と子の二百日戦争~」(1982年)は約300万部の大ベストセラーに。印税収入は3億円とも言われたが、同時に金銭トラブルも招いた。

まだ完済はせず 脚光を浴びて程なく、自らの土地が勝手に売られるなどトラブルが続いた。税金の不払い、非行相談所の設立などに関連して多額の負債を抱えるようになった。2012年の「積木くずし 最終章」には80歳を迎えても借金を完済していないことをつづっていたが、病に侵されても返済を続けていた。関係者は「まだ完済はしていない」と話す。金銭をめぐる苦労は最期まで続いた模様だ。

 「積木くずし」が人生を大きく変えた。03年に由香里さんの死後に会見した穂積さんは「由香里を殺したのは自分のような気がした。本を書いたばっかりに早死にさせた」と号泣した。ベストセラーによって悪化した親子関係も亡くなる前は改善されて同居。穂積さんの舞台の楽屋に娘からのコチョウランが必ず届くなど、良好な関係にあっただけに涙が止まらなかった。

 3度の結婚を経験。関係者によると、93年に再々婚した妻は脳梗塞を患って施設に入所。穂積さんは近年、妻の姉宅で生活していたとみられる。

 所属事務所によると、今年2月まで舞台出演を続けていたが、8月に胆のうがんが判明。入院生活を送るようになった。身の回りの世話をする女性には「最期は静かに逝きたい」と語っていたという。

 生前の希望通り、遺体は20日に献体された。葬儀・告別式は未定で、現時点でお別れの会は予定していない。

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