77歳の三田佳子、主演舞台で女優人生かける「喜寿になったけれど、何がめでたい」心境語る

スポーツ報知
作者の佐藤愛子氏から「あとはあなたの演技力ね」と激励された三田佳子。自身が“企画”の珍しい舞台だ(カメラ・小泉 洋樹)

 女優の三田佳子(77)が、11月30日、12月1日に東京・明治座で上演される主演舞台で俳優人生をかけた大仕事に挑もうとしている。125万部をこえた作家・佐藤愛子さん(94)の人気エッセー「九十歳。何がめでたい」(小学館)を朗読劇の形で舞台化。演出を石井ふく子さん(92)が手掛け、三田は佐藤愛子を演じる。

 世の中のさまざまな変化に反応して憤ってみたり、もの申したり。この痛快エッセーは共感、話題を呼び、2017年の年間ベストセラー第1位に。この舞台化という大胆な発想をしたのは、三田本人。許諾を得るために最初に石井氏と、佐藤氏の自宅へ。「これを舞台に? 話もバラバラなのに一体どうやってやるの?」と驚かれたという。

 佐藤氏との交流は長いが三田が自ら「これをやりたい!」と率先して動くのは珍しい。「エッセーは出版時(2016年8月)にすぐ読ませてもらいました。エネルギッシュに“老い”をはねのけるようなタイトルが好きで。直感的にこれ、舞台ならないかしら? と思ってしまったんです」

 石井さんに“企画”を持ち込み、相談し、演出も頼んだ。作者だけでなく、こちらも90歳をこえ92歳。もちろんいまも第一線で活躍中だ。石井さんの反応は、暫くの沈黙の後、こうだった。「あなたすごいわね。女優は普通、1歳でも若く見せたがるものなのに」90歳を演じたい、と思った点にも反応し、舞台化は動き始めた。

 三田は「90」という数字の響きと年齢に強く引かれた、ともいう。2010年、70歳のときに孫ができたとき、「孫が成人する90歳までは生きないとね、と深く考えず勢いで答えている自分がいた。それがいま90歳という年齢が、現実味を帯びてきた。それも私を動かしたのだと思う」

 舞台は朗読劇の形を取るが、エッセーの味わいを残し、エピソードを盛り込みながら、劇中劇で構成。俳優・井上順、ジャニーズJr.の高田翔、女優・石野真子が共演。音楽を藤原道山が担当する。三田は最初、いかにもおばあちゃん的な舞台衣装で出ることをイメージしたそう。すると石井氏から言われた。「すぐペケ。ダメ、と。『汚くしないで。そのままで』といきなり指摘されました」。実際の佐藤氏も、りんとして美しく生き生きとしている。

 三田は、10月に77歳になった。60年近く、波乱に富んだ人生を送りながら、いまも女優を続けている感謝の気持ちも届けたいという。「喜寿になったけれど『何がめでたい』がいまの正直な気持ち。死がそばにある年齢にどんどん近づいている。よろよろしながらも挑戦し、私なりに老いの花を咲かせたいと思っています」タイトルに絡めながら、いまの心境を語った。

 【12月の公演日程】2日=富山県民会館、13日=静岡・グランシップ中ホール・大地、17日=大阪・新歌舞伎座、20日=長野・ホクト文化ホール、22日=愛知・刈谷市総合文化センター大ホール、24日=山形・やまぎんホール

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