佐藤浩市&渡辺謙で福島原発3・11からの5日間描く 映画「Fukushima 50」 

スポーツ報知
映画「Fukushima50」に主演する佐藤浩市(左)と、吉田所長役を務める渡辺謙

 俳優の佐藤浩市(57)が映画「Fukushima 50(フクシマフィフティ)」(2020年公開、若松節朗監督)に主演することが19日、分かった。11年の東日本大震災時に発生した東京電力福島第1原発事故に対応した作業員約50人の奮闘を描く作品。佐藤は1・2号機当直長・伊崎利夫(仮名)役、渡辺謙(59)が故・吉田昌郎所長役を務める。

 福島原発を扱った映画は、事故後の官邸とメディアの闘争を描いた16年の「太陽の蓋」(佐藤太監督)があるが、本作は原発事故自体をテーマにした世界初の劇映画となる。原作は門田隆将氏のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」。11年3月11日から15日までの5日間、電源喪失と炉心融解の危機に陥った発電所内に残り、闘った人々の実話を描く。当時、多数の海外メディアが用いた呼称をタイトルに据えた。

 臨場感、スケール、ドラマ性を豪華キャストで追求する大作で、佐藤と渡辺は13年の「許されざる者」以来の共演となる。さらに、佐藤と若松監督は来年公開の「空母いぶき」、渡辺と監督は09年の「沈まぬ太陽」でそれぞれタッグを組んでおり、互いを理解している。脚本は14年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の前川洋一氏が担当する。

 事故発生時、現場で1・2号機の操作・制御を責任者として担当した伊崎を演じる佐藤は「忘れることで前に進む、失敗しても何度もトライする。生き物の中で人間だけが出来ることです。しかし、絶対に忘れてはいけない、繰り返してはいけないことがあります」と熱い言葉を前置きした上で「あの日あの時どういう状況に我々、日本があったのか? 明日、そして後世のための映画を若松監督、渡辺謙さんたちと一緒に確認しながら作りたいと思います」と撮影に挑む覚悟を語った。

 作業員たちを率い、日本を救うための陣頭指揮を執った吉田所長役に臨む渡辺は「『許されざる者』の撮影中、浩市君に『100本目の映画にはどんな役でも参加するよ』と約束してました(本作は佐藤の106本目の映画出演作となる)」と主演俳優との縁を語りながら「でも、気軽に参加する作品ではありませんでした。今もなお苦しみの続く福島の方々の思いを受け止めながら『沈まぬ太陽』以来の若松監督、浩市君、素晴らしいキャストとともに緊迫感あふれる画を積み重ねていきたいと思っています。ご期待ください」と述べている。

 テレビドラマも含め、骨太な社会派作品の演出に定評のある若松監督も「家族、生まれ育った町や村を守るために命を賭して未曽有の危機に挑んだ人々の話です。あの時、現場にいた者しか知り得ない真実を描いていこうと思っています。強い覚悟で臨みます」と言葉に力を込めた。

 今月25日にクランクインし、来年1月末に撮了予定。原発内部を再現したセットを都内スタジオに組んで撮影し、福島県内ロケも検討中。東京五輪が開催され、海外から視線が集中する2020年に公開し、世界公開も視野に入れている。

 ◆「Fukushima 50」で描かれる5日間

 ▽3月11日 午後2時46分、東日本大震災発生。同3時41分、津波により福島第1原発が全電源喪失。原子炉冷却機能を喪失

 ▽12日 1号機が炉心融解し、原子炉建屋は水素爆発。原子炉へ海水注入。格納容器内の蒸気を外部に放出するベントを実施。半径20キロ圏内に避難指示

 ▽13日 3号機が冷却不能に。消防車から海水注入

 ▽14日 3号機の原子炉建屋が爆発。2号機の格納容器圧力が最高使用圧力を超える

 ▽15日 2号機で衝撃音が発生し、圧力抑制室の圧力低下。4号機の原子炉建屋が爆発し、火災発生。半径20~30キロ圏内の住民に屋内退避指示

 ◆東日本大震災 2011年3月11日午後2時46分、牡鹿半島の東南東約130キロの三陸沖深さ約24キロの地点を震源に発生したマグニチュード9.0の地震。最大震度7。福島第1原発は地震動と津波により全電源喪失、炉心融解、水素爆発を起こした。地震と津波による被害は死者1万9630人、行方不明者2569人(18年3月1日現在)。

芸能

×